【コラム】サイエンティストの起業について

このシリーズはたぶんこれが最後と思います。何か気になるコメントがあれば書くかもしれません。


さて、サイエンティストの起業についてですが、私もまだ勉強不足でどの程度可能性があるのかよくわかっていません。それでも、はっきりしていることが一つあります。

アメリカで7,8%しか生き残れないアカデミックポスト、しかも、アメリカはPh.Dが職探しに有利に働きますが、日本は逆に不利に働くということがわかっていつつも、家族を巻き込んでアカポスを目指すというリスキーなことに挑戦したことに比べたら起業なんてはるかにローリスクでできますよということです。

何もGreeやモバゲーみたいにプラットフォームを作って勝負しろというわけではありません。

それでも、避けた方が良い業種があるのは確かです。
例えば、最初に相続金がたくさんあるからといって箱物に挑戦するのは止めた方が良いでしょう。
バイオベンチャーも出口がはっきりしていない限りは止めた方が良いです。

見習いとしてどこかで修行出来るなら率先してそれに取り組みましょう。

私も幾つか事業計画はありますが、そのほとんどは課金をしないものです。
やろうと思えば、出来る課金事業もありますが、時間が取られすぎるのでやらないというのもあります。
だから、まずは課金せずにどの程度お客が集まるのか、試してみるのも良いでしょう。

とにかくITを活用して、店舗や事務所を持たずにミニマムビジネスから立ち上げてみればよいのです。お金儲けを目的にしてしまうと、途中で空しくなったりすることもありますから、自分や他人が研究できる環境を整備するとか、これだけのネットワークを作るとか、別の目標を立てると良いかもしれません。

一番大事なのはゴールにどこを見据えるかです。
そのイメージ、できれば数字さえ持っていれば、自ずと今やるべき事が分かってきます。

どこまでサイエンスに絡んだ仕事がしたいのか。
どの程度儲けたいのか。
どの程度空き時間を確保したいのか。
自分にとって何が得意で、何が好きなのか。

そういった要望によって、選択する道は違ってくるでしょう。
しかし、ちゃんとこうしたいという願いを持っていれば、必ず叶います。

企業に勤めても、アカポスを含む公務員になっても、老後の年金はどうなるか全く分かりません。今から貯金していても、インフレになったらそれも無駄になります。65歳過ぎてもある程度同じペースで収入がある基盤を作ることは悪いことではありません。その上で余裕があれば、余裕を作るようにしてサイエンスに関わるようにすればよいのです。

起業が増えて、日本の経済が活性化しない限りは研究環境も良くはなりません。
こんな時代に博士が起業しなければ、いったい誰がするのか、誰が日本を支えるのかということを考えて欲しいと思います。