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「食料安全保障強化の為には政府がお金を使うしかない(前半)」三橋貴明 AJER2024.5.7

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

「【警告】2035年に石炭火力発電が0に…?」日本政府のエネルギー政策の行方[三橋TV第862回]三橋貴明・saya


https://youtu.be/4xrhRlaZFJQ

 5月20日、経団連は春闘の解凍・妥結状況を発表しました。賃上げ率は5.58%とのことで、バブル崩壊時の1991年の5.6%に並びました。


 「全ての事業者」が5.6%の賃上げになれば、物価上昇率を上回るため、実質賃金は上昇するでしょう。とはいえ、労組に加盟している生産者は16%に過ぎません。残りの84%がどうなるか。


 昨年は、春闘で3.99%の賃上げが行われましたが、全体では物価の上昇率には追い付きませんでした。結果、実質賃金が24カ月連続でマイナスという悲惨な状況が続いています。


 政府は実質賃金上昇のために「やっているフリ」をする必要がありますから、経団連を初めとする経済団体に、
「賃上げしろ」
 と、共産主義国家のような圧力をかけますが、自ら支出を増やすわけではありません。日本人は空気に弱いので、労組がある大企業などは賃上げに応じますが、全体への波及までは、さすがに政府はコントロールできません。


大企業の賃上げ率5.58%、33年ぶり高水準 今春闘、経団連集計
 経団連は20日、大企業の春闘の回答・妥結状況(1次集計)を発表した。定期昇給と、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は5.58%。昨年の3.99%(最終集計)を大きく上回り、バブル崩壊直後だった1991年の5.60%(同)以来、33年ぶりの高水準となった。
 原則として従業員500人以上の大手企業を対象に、この日までに報告があった16業種89社分を集計した。賃上げ率が5%を超えたのも91年以来だ。経団連は「今夏にまとめる最終集計でも5%台の水準になることはほぼ確実」とみている。月例賃金の平均引き上げ額は1万9480円で、比較可能な76年以降で最高となった。(後略)』

 さて、名目賃金が5%上昇したところで、実質賃金がどうなるかは未だ不明です。


 さらには、上昇したところで、1~2%でしょう。それでも、97年以降に限ればマシですが、かつて(高度成長期)の日本の実質賃金上昇率はそれどころではなかった。

 

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皇統論第六十四回「最後の勝者」、歴史時事第六十四回「英雄の物語」が配信になりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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 池田勇人内閣が国民所得倍増計画を打ち出したのは、1960年です。1961年4月期からの十年間で、「実質」国民総生産を倍増させることを目標に掲げた。


 実際には、所得倍増計画は八年で達成された。つまりは、この期間、実質賃金は上昇を続けました。

【日本の実質賃金指数の推移(1968SNA)】 


http://mtdata.jp/data_90.html#koudoseityou1

 1973年まで、1997年までで、日本経済はまるで「別の国」のようになってしまいました。

【日本のGDPデフレータの推移(1968SNA)(対前年比%)】


http://mtdata.jp/data_90.html#koudoseityou2

 1973年、1974年にGDPデフレータが急騰しているのは、もちろん「オイルショック」によるものです。


 これは日本だけではないのですが、OPECの禁輸による「輸入物価上昇に起因するコストプッシュ型インフレ」を、
「政府の積極財政が原因だ」
 との誤解が広まったというか、新古典派の経済学者(ミルトン・フリードマンら)が嘘を広め、ケインズ的財政拡張政策が全否定されるようになりました。


 結果的に、日本(や他の西側諸国)で財政が緊縮に向かい、規制緩和、民営化、自由貿易といったグローバリズムが進展することになりました。


 西側諸国の経済成長率は、それまでの半分程度に低下した。


 挙句の果てに、日本はバブル崩壊と橋本緊縮財政により、経済がデフレ化。実質賃金はその後、ひたすら下落することになりました。


 さて、現在の日本の物価上昇は、輸入物価上昇に起因するコストプッシュ型インフレです。これを、
「財政政策で需要が拡大したからだ!」
 と、頭が悪いというか、データを無視した暴論を展開し、緊縮財政に持ち込もうとする勢力がある。そんなことをしても、単に日本経済がさらにデフレ―と(縮小)するだけの話です。


 逆に言えば、高度成長期並に生産性の向上が見込める拡張的な財政政策が可能であれば、日本経済は復活する。


 まさに、我々は分岐点にいる。
 

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