The year to fear for Taiwan: 2006
台湾にとって恐るべき年:2006年

http://www.atimes.com/atimes/China/FD10Ad02.html
By Wendell Minnick | 2004年4月10日

台北発:台湾を侵略しようと中国が決意したとしても、ノルマンディーのような陸海空共同での大規模上陸作戦とはならないであろう。
 より現実的には、中国は斬首戦略を用いる可能性が大きい。斬首戦略は指揮統制システムをショートさせ、国内全域の命令系統を麻痺させ、敵手を絶望的な敗北へと追いやるものである。
 「頭を殺せば体も死ぬ」と、格言にもある。中国が必要としている行動は、その権力中枢である首都や指導者の制圧にある。

 中国が分離された自国領と規定する土地を、本土へと再統一すべく武力を用いると決意した場合、その好機は2006年であると考えられている。これは2008年の夏季オリンピックを控えた中国に、混乱を一掃するだけの時間を与えるであろう。多くのアナリストは、2005年までに中国の軍事力が台湾の防衛能力を凌駕すると推定している。そのため、戌年の2006年は明確な危機の年である。

 現在、米国国防総省の当局者達は、中国の台湾に対する軍事的脅威を再調査している。こうした再検討によって、台湾防衛のために考えられた多くの手法に、劇的変化がもたらされた。
 伝統的に、台湾はノルマンディ・シナリオのような水陸共同の作戦を懸念しており、その防衛戦略は常に上陸作戦を阻止すべく構築されてきている。
 現在、米国の国防当局は、斬首戦略の可能性が計画に組み込まれていると考え、僅か7日で台湾を失陥するといったような事態を検討している。これは以前には考えられなかった事だ。

台湾乗っ取りシナリオ

 空軍力とミサイル戦能力と結合した中国の緊急展開部隊は、最小限の努力と損害で成功裡に台湾を奪う、最も可能性の高い定石的手法である。これは、軍事におけるKISSの原則(馬鹿でも解るように単純にし続けろ!)を完全に満たすものだ。欺瞞能力と閃きの鋭さとを混ぜ合わされた力を有する特殊部隊は、台湾軍を打ち破る破城鎚というよりは、レーザーカッターのような能力を中国へと提示する。

 第43・44・45の三個師団を傘下に置く、中国の第15空挺軍団による台北への直接的な空挺攻撃は、台湾の第六軍(北部)に所属する4つの師団を拘束する目的で林口・桃園、そして宜蘭へと降下する補助空挺部隊と共に、攻撃の第一段階となるであろう。中国の空挺師団は11,000人の人員と軽戦車及び自走砲によって編成されている。
 いくつかの諜報報告によれば、中国は1988年時点で、48時間以内に1個空挺師団をチベットへと空輸可能であったとされていた。今日、中国の兵力輸送能力は大幅に上昇しており、現在ではその倍である22,000の兵力を二日で移送する事が可能だと予想されている。

 台湾の第六軍には、第106・116・118・152・153・178の七つの歩兵連隊がその傘下に置かれている。その中でも第152/153の竜旅団と第176/178の虎旅団は、最精鋭だと言われている。さらに、第六軍傘下の第269自動車化旅団と第351装甲歩兵旅団、そして第542装甲旅団への直接攻撃は、中国軍にとって必須のものとなるであろう。

 初期の戦闘の大部分が、総統府と国防部、そして立法院が置かれた台北の中正区で繰り広げられる事になるだろう。中国軍は降下すると同時に、台湾の憲兵隊と衝突することになる。
 憲兵隊は重要な政府施設及び軍事施設の防御に責任を負っている。彼らは全ての鍵を握り、ドアを守護する門番である。彼らは事務的であり、何者かが接近してきても面白みのある対応はしないと考えられている。
 中国の空挺部隊は、こうした台北に存在する部隊からの、即時の抵抗を受ける事になるだろう。
 台北の外部に拠点を置く正規軍の反撃には、おそらくは数日の時間が掛かるものと見られている。増援部隊が到着するまでは、憲兵隊が中国軍阻止の任にあたる──支えきれないかもしれないが。

暗殺部隊・破壊活動部隊は事前配置される

 作戦の数ヶ月前に台湾へと密かに入国する特殊部隊は、主攻の数時間前に要人の暗殺や、台湾周辺のレーダー施設や通信施設を攻撃する事になる。
 その際、潜入工作員達は、軍や警察内部の共鳴分子からの支援を受ける可能性もある。軍人や警察官のうち75%は国民党を支持しているとされており、つまりは中台統一を支持していると見られている。
 彼らのうち多くがタクシーを使うなどして、気付かれないうちに都市を移動する事が出来るだろう。
 既に台湾国内に余りあるほど滞在する中国国内の売春婦が、中国の情報機関に女スパイとして雇われるかもしれない。政府及び軍の要人が夜の奇妙な時間、何処にいるかといったような重要な情報を、彼女たちは供給する事になるだろう。死は究極の性欲促進剤とも言うし、間近に迫った危機は彼女たちの活動を助けるであろう。

 作戦の第二段階は台北松山空港(台北国際空港)を空挺部隊が確保した後に開始される。中国は安全な滑走路を用い、1000機に及ぶ爆撃機と戦闘機による航空支援の下、イリューシンIl-76、陜西Y-8、アントノフ26、そして西安Y-7といった軍事輸送機によって、『即応部隊』である第14師団を空輸するであろう。
 輸送能力の不足は商用輸送機や旅客機の徴用によって補うが、中国が保有する10機のIl-7 輸送機は一機につき130名の兵士を空輸する事が可能だ。また、中国は約500機のエアバス社製及びボーイング社製の旅客機を用いる事が可能である。中国の大重量輸送機のうちいくつかは、BMD-2空挺戦闘車や、装甲戦闘車に分類される車両を運ぶ事になる。
 空輸された兵力は橋や交差点といった重要な地点を確保し、都市のあらゆる場所へと展開するであろう。
 さらに中国は、台湾へと特殊部隊を輸送する事が可能な、200機の輸送ヘリを所有してもいる。

 新たに創設された台湾の緊急展開兵力から、中国軍は反撃を受けるかもしれない。
 新しく創設された航空特殊部隊司令部(Aviation and Special Forces Command)(ASFC)は、第601・602・603の三個航空ヘリ旅団と第862特殊戦闘旅団を統一指揮の下に結合した部隊である。第862特殊戦闘旅団は台湾におけるエリート空挺旅団であり、合衆国陸軍のレンジャー部隊をモデルにしている。
 ヘリ旅団はCH-47SDチヌーク輸送ヘリ、AH-1Wスーパーコブラ攻撃ヘリ、OH-58D武装観測ヘリ、そしてUH-1Hヒューイ輸送ヘリを集成して編成された。

 また、台湾には小規模ではあるが、注目すべき特殊部隊がいくつか存在している。海兵隊には水陸両用偵察隊(ARP)と特殊勤務中隊(SSC)があり、陸軍には『陸軍フロッグマン部隊』とも呼ばれる第101水陸両用偵察大隊(ARB)、そして空挺特殊勤務中隊(ASSC)といった部隊が存在している。
 ASSCは合衆国のデルタ・フォースを模範として創設された新たな部隊である。この部隊は戦術の第862旅団から兵員を供給されており、対テロ任務やその他の特殊任務に携わっている。
 ただ、こうした部隊の戦闘地域への投入が可能か、あるいは投入するのかについては、また別の問題となってしまうが。

 島中に散在する台湾の歩兵部隊のうち、特殊部隊と海兵隊を除く他の大部分に、多くを期待することは出来ないだろう。ことわざにもあるとおり、「重要なのは戦いに臨む犬の大きさではなく、犬の中にある闘志の大きさである」。
 台湾の軍には20ヶ月の兵役期間を終え、女友達や仕事へと戻ることをひたすら願うような、無気力かつ無能な兵士が大多数となってしまった。多くの人々は、いい生活で軟弱に甘やかされてきた台湾の青年層(これには兵士も含まれる)を、『イチゴ世代』と呼んでいる。
 台湾を訪れた米軍関係者は多くの場合、台湾軍の新兵訓練が手緩すぎると苦言を呈している。軍当局は中国の侵攻に向き合うよりも、徴集兵の親を怒らせる方が恐いんじゃないかと語る米軍兵士もいる。
 人権問題に通じたある議員は、オンライン版のアジア・タイムズに最近、「台湾は軍の中の暴力に対処せねばならない」と訴えた。これを受けた記者は彼に「軍隊とは暴力機関である」と思い出させている。それで会話は終わり、教訓は失われた。

アイデンティティの危機に見舞われる台湾軍

 また、台湾軍はアイデンティティの危機にも直面している。台湾が中国の一部であるというのは、軍内部で未だに強い共鳴を受けている意見である。
 例えば兵士が着けている部隊章は、多くの場合台湾ではなく中国の輪郭が描かれている。第六軍、第八軍、第46師団、そして海兵隊は部隊記章に中国のイメージをあしらっている。第117歩兵旅団の部隊章は、中国本土に着地する鷲の姿だ。第34師団と第157歩兵旅団、そして第200自動車化旅団の部隊章は、万里の長城が描かれている。部隊章やエンブレムに、台湾のイメージを採用した部隊は存在していない。
 事実、台湾の軍事基地を訪れた者が、そこが台湾であると思わせるような証拠を見出すことは全くない。
 台湾の徴集兵にとって、中国は軍事的経験の中心的テーマを占めている。海軍の艦艇名ですら、中国の地名や人名といったテーマを採用している。

 この戦争シナリオにおいて、台湾海軍は石のように沈む以外の役割を演じることはないと見られている。台湾へと向かう少数の中国軍機を撃ち落とすくらいは出来るだろうが、中国が繰り出す多数の対艦ミサイルによって、多くの艦艇は行動を封じられる事になるだろう。
 特に注意すべき物として、ロシア製のサンバーン対艦ミサイル(ASM)が挙げられるだろう。これは合衆国のハープーンASMよりも三倍早い飛行速度を誇っている。また、ハープーンのように舷側に命中するのではなく、目標近くで上昇した後に垂直降下で甲板を貫通するように命中する。突入速度と角度を考えるならば、これを撃ち落とすことはほぼ不可能であるし、電子的対抗手段やジャミングも無力であろう。

 台湾空軍は中国軍の短距離弾道ミサイルによってもたらされた、滑走路の損傷修復に忙殺されることになるだろう。これは中国の海岸沿いに約500発が配備されていると見積もられている。中国第二砲兵部隊は空軍基地や港湾施設、その他戦略的拠点に対し数波にわたる多方面への飽和攻撃として、東風-11(M-11)及びDF-15(M-9)ミサイルを発射すると見られている。
 このうち少数だけが台北周辺に3個配備されたパトリオット大隊(PAC-2プラス)によって迎撃されるであろう。だが、パトリオットは台湾北部を狙うミサイルを迎撃できるだけで、南部は弾道弾の脅威から完全に無防備となっている。
 台湾へと浸透した中国の特殊部隊は、パトリオットの発見と破壊に全力をあげるであろう。それがどこに配備されているかは誰もが知っている事なので、発見と破壊はさほど困難ではないと思われる。

 台湾空軍が保有する戦闘機のうち幾らかを緊急発進させることが出来たとしても、中国軍が保有する最新鋭のスホーイ30やSu-27、そしてJH-7といった戦闘機と空中で遭遇することになるだろう。本年初頭、ロシア製のSu-27戦闘機154機を中国は受け取っている。また、2004年の終わりには、273機の先進的なスホーイ戦闘機を保有すると予想されている。
 基地が破壊される前に離陸できた台湾の戦闘機パイロット達は、中国軍機と死闘を繰り広げるだろうが、ひとたび燃料を使い果たしてしまえば、彼らが着陸する飛行場は失われている。多くのパイロットは戦えるだけ戦った後は、機を捨てて脱出することを選ぶ事になるだろう。

 一方、中国が保有する西安H-6(Tu-16)バジャー約100機と、ハルピンH-5(Il-28)ビーグル約500機といった爆撃機は、開戦初頭のミサイル攻撃から生き残った地域を一掃するであろう。中国軍が特に重要視しているのは、台湾東部の山を掘削して建設された、花蓮市のChiashan基地と台東の知本基地といった、2つの『秘匿』空軍基地である。これらは恐らく初期のミサイル攻撃から生き残り、中国空軍に多少の努力を強いることになるであろう。

迅速な親中政権の樹立宣言

 ひとたび台北が後略されたならば、北京によって選ばれた新政権が就任宣言を行うであろう。候補となる台湾人政治家は数多く存在している。
 中国に投資を行っている親中派議員は多く、北京政府と秘密会談を行っている議員が少数とはいえ存在しているのは、よく知られた話だ。
 就任式は国際的メディアのスポットライトの中で執り行われるため、多少の心理的合法性を国際社会の目には映ることになるであろう。
 合衆国の国務省には親中派の人々が多く、そうした人々は内心で台湾問題が最終的解決を見たと安堵するため、台湾の防衛については何も言わないかもしれない。

 新政府の発足と共に新たな総統は、中国に対する全ての敵対行動の終結を宣言するであろう。新総統は全国に向けたテレビ演説において、全軍に撤退するよう命じるであろう。親中感情が高まっている台湾軍の大部分は、不承不承とはいえ新総統に従うと思われる。

 新総統は2002年に合衆国政府が新設したホットラインを用い、台湾に代わって遂行されたあらゆる軍事行動や、新たな賓客である中国軍への敵対行動に対し警告を発するだろう。
 ホットラインを用いることによって、新たな総統と彼の部下が秘匿通信に必要なコードへとアクセス出来る事を合衆国に示し、また、そのコードを有効化するため、国防部内に設置されたホットラインにもアクセスする権限を持っている事をも示すであろう──これはすなわち、権力と支配のデモンストレーションに他ならない。

 合衆国軍は命令あり次第、こうしたシナリオに対応することが可能だ。問題は、合衆国がどの程度、台湾防衛に関与できるかである。
 中国軍の侵攻速度を考えるならば、USSキティホーク以外の空母が初期の反撃を行うことはあり得そうにない。
 即応可能な最も緊密な軍事援助手段としては、台湾から僅か20分の位置にある沖縄の兵力が挙げられる。

 日本に拠点を置く第5空軍の下、沖縄の嘉手納基地はF-15ストライクイーグル戦闘機で編成された2つの戦闘機中隊(第44戦闘機中隊『ヴァンパイア』及び第67戦闘機中隊『ファイティング・クックス(軍鶏)』を傘下に置いている。さらに、三沢空軍基地の傘下には、F-16ファルコン戦闘機で編成された、2つの戦闘機中隊(第13戦闘機中隊『パンサーズ』及び第14戦闘機中隊『サムライ』)が置かれている。
 韓国には第7空軍所属のF-16戦闘機中隊3個が置かれ、アラスカの第11空軍にはF-15戦闘機中隊が3個、F-16戦闘機中隊が1個置かれている。

米海兵隊を呼び込むべきか?

 合衆国の海兵隊は、中国が潜在的に抱えている頭痛の種の一つである。
 日本の岩国に配備された第12海兵航空群は、F/A-18ホーネット3個中隊、EA-6Bプロウラー1個中隊、そしてAV-8ハリアー戦闘機一個中隊(こちらは沖縄に配備)を保有している。

 中国が合衆国の空軍力を恐れる理由はいくらでもある。米軍パイロットは中国軍パイロットよりも練度が高い。中国空軍の訓練計画は生温い物であり、中国の航空機が墜落炎上した現場を映すTV報道は、驚くに値する物ではない。こうした点からも、韓国や日本からの米軍撤退を中国が熱望しているかについて、理解することが可能であろう。

 合衆国が空母を想定戦場へと送り込むとするならば、太平洋艦隊はUSSキティホーク、カールヴィンソン、ニミッツ、エイブラハム・リンカーン、ジョン・C・ステニス及びロナルド・レーガンの6隻を動員することが可能だ。これらの空母にはF-14トムキャット、F/A-18、EA-6Bといった航空機を運用している。
 キティホークは合衆国海軍の中でも永久的な前線配備命令を受けている、唯一の航空母艦であり、日本の横須賀を基地としている。最近では香港を訪問しており、また、台湾紛争の可能性に関するマスコミ報道において、しばしばこの艦の存在が言及されている。

 米海兵隊は様々なヘリコプターや戦闘機、そして攻撃部隊を載せた強襲揚陸艦を、太平洋において7隻保有している。これらは基本的に独立した侵攻部隊であり、USSタラワ、ペリリュー、エセックス、ボクサー、ボノム・リシャール、イオージマといった艦が所属している。これらの艦は基本的に小型空母と見るべきであり、例えばタラワは、4機のAH-1シーコブラ攻撃ヘリ、重量物輸送が可能な6機のCH-53スタリオン輸送ヘリ、20輌のM-60戦車、29輌の軽装甲車、29輌のAAV-7水陸両用強襲車、そして1900名の増強海兵大隊を輸送することが可能である。

合衆国の空母打撃群がグアムへと移転する可能性も

 また、中国はグアムのアンダーセン空軍基地へと到着した、新規部隊についても考慮する必要がある。2月にはハワイの太平洋軍司令部(PACOM)の要請に応じ、ノースダコタのマイノットに基地を置く第5爆撃航空団所属の、B-52ストラトフォートレス6機が飛来している。
 PACOMは「その必要性が無くなるまで、ローテーションでグアムへと爆撃機部隊を配備するように」と要請した。

 こうした配置転換をPACOMは北朝鮮の動きに対応したものだと主張しているが、他の者は台湾情勢が配置転換の根底を成していると示唆している。これはアジアでの合衆国の軍事計画立案において共通に見られるテーマであり、公に使用される理由は北朝鮮だが、その裏面の理由は台湾情勢である。
 現在、グアムはハワイに代わる空母打撃群の根拠地として、利用可能かどうかが検討されている。

 日本はこうした方程式におけるもう一つの要素であり、また、介入することも可能だ。多くの者達は中国が台湾を奪取した場合、日本と韓国の両者が迅速に核兵器を開発し、恐らくは数ヶ月以内に配備するだろうと主張している。
 中国を相手にした戦いで台湾海峡を失い、軍事的冒険主義に染まった北京の台頭を許せば、アジア地域は至る所で衝撃を受けることになるだろう。
 日本が介入を決意したのならば、彼らはF-15戦闘機9個中隊を戦闘へと投ずることが出来る。また、50隻近くの駆逐艦、10隻のフリゲート、16隻の潜水艦を有する日本の海軍力は、中国海軍を拘束する事になるであろう。

 しかし、紛争が拡大し合衆国が巻き込まれた場合、中国軍がアジア地域の米軍基地を攻撃する可能性がある。終末誘導が可能なDF-21Cミサイルを沖縄へと撃ち込むのが、その手始めとなるかもしれない。
 アナリストによれば、米軍が台湾海峡の中国海軍艦艇や航空機を束縛しない限り、このオプションを検討しないだろうとされている。
 さらに中国は、日本やアラスカ、ハワイといった米軍基地に対する特殊部隊の投入に、積極的になるかもしれない。
 こうしたオプションを中国が選択した場合、台湾に投じた軍を統合し、合衆国の介入を妨害するための時間を彼らに与えることになるだろう。

台湾のために戦う価値とは?

 この地域の地図を見れば、誰であろうと理由は容易に理解できる筈だ。台湾の戦略的位置はそれ自体が非常に価値のある物である。
 台湾海峡は海上交通の要衝であり、中国が台湾を押さえることによって、中国の好きな時に日本や韓国への国際商用海運、特に原油輸送を遮断することが可能になる。
 さらに台湾は、合衆国による情報収集の重要な窓口として機能している。
 台湾の国家安全局と米国国家安全保障局は、台北の真北に位置する陽明山に設置された、SIGINT設備を共同運用している(2003年3月6日掲載の『スパイの山:合衆国はどのように中国をスパイしたか』を参照のこと)。
 台湾が中国の武力によって支配下へ組み込まれることは、日本にとって想像を絶する事態である。

これらはもちろん、抜粋された事実に基づき推測を加えたシナリオに過ぎない。中国に何が可能かという推測と、実際に何を行うかは別に考えるべき問題である。
 しかしメディアに登場するような多くの専門家は、ノルマンディ型の揚陸作戦や終末的なミサイル戦争について語るものの、そうした極端な二点の中間にある、これまで書き連ねてきたような迅速な手法については、真剣な検討をしていない。
 もちろん、中国に対し「どのような計画も戦闘開始後1秒で意味が無くなる」と警告するべきではあるが。


Wendell Minnick氏はジェーン・ディフェンス・ウィークリーの台湾特派員であり、『Spies and Provocateurs:A Worldwide Encyclopedia of Persons Conducting Espionage and Covert Action 』(マクファーランド社・1992年発行)の著者である

 えー、軍事方面はそれほど知識があるわけではないので、なんか解釈間違ってたりする可能性は結構高いかもです。その場合はコメントなどで指摘していただけると幸い。

 2004年の記事なだけに、配備されている兵器などは現在とはだいぶ違うでしょうけど、置かれてる状況や台湾の重要性には変わりはありません。
 台湾情勢は沖縄の状況にも深く関わってきますし、普天間などの基地問題を考える上で、この記事が役立つことを祈ります。


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