銀座のホステスが労働審判を申し立てました

客の売掛金が給与から天引きされ、借金を背負わされる!銀座のホステスが労働審判を申し立てました


厚生労働省 記者会見 VTR1



厚生労働省 記者会見 VTR2



厚生労働省 記者会見 VTR3


「罰金やお客の売掛金の返済で半年働いても給料はほとんどもらえず、300万のバンズ(前借り)があるためお店も辞められません・・・」

フリーター全般労働組合に相談に訪れた銀座で働くホステスのAさんは、こう訴えました。
昨年末、水商売で働く人の分会、キャバクラユニオンを結成してから、フリーター全般労働組合には、連日水商売で働く人たちからの相談が寄せられています。
キャバクラをはじめとする水商売は、雑誌の影響などで親しみやすいイメージが広がるなか、雇用情勢の厳しさから自給の高さに惹かれる人も増え、若年層に人気の職業になりました。
その一方で、水商売の慣習として、退店する月の給料を支払わない(そのため不当なことがあってもなかなか店を辞められない)、労働基準法に違反する高額な罰金を取る(結果として給与が著しく減額される)などの違法が横行しています。従業員や客からの深刻なセクシャルハラスメントも後を絶ちません。
さらに、銀座など一部地域のクラブでは、請負契約を偽装し、雇用契約を結んだ労働者とし働いているにもかかわらず、ホステスが客の売掛金未回収分を肩代わりさせられるという問題もあるのです。
冒頭のAさんは、銀座のクラブ・ココドゥパリ(有限会社HAR)に入店する前に働いていた店で、客の売掛金未回収分300万円を自らの借金とさせられてしまいました。もちろんこれは明らかな違法。
その後、スカウトを通じてクラブ・ココドゥパリに移る際、この店から300万を借りて前の店に支払い、毎月の給料から返済する契約を結ばされました。
入店にあたっての契約では、日給は4万6千円あまり。15日ほど働けば月給は60万以上になるはずでした。
ところが、クラブ・ココドゥパリは、「店の規則」として、欠勤・遅刻・同伴など様々な名目で、多くは日当分の罰金を一方的に給与から天引きしました。これは労働基準法一六条(違約金の禁止)、二四条(賃金全額払いの原則)に違反し、刑事罰の対象になります。
その上、本来、客の飲食代が二か月たっても回収できない場合、ホステスの賃金から天引きし、回収できないと未回収分の10%を売掛金ペナルティーとして天引きしていました。これも当然、労基法一六条、二四条違反です。
さらに、ホステスのトイレットペーパーや化粧用綿棒代として厚生費という名目で毎月3万円から5万円の経費も天引きしていました。
これらの天引きのせいでAさんは働き始めて二か月目から一度も給与を受け取ることができていません。生活ができないAさんは、店から前借りすることになり、さらに借金がふくらみ、生活が行き詰まり、精神的にも追いつめられてしまいました。
これと見込んだ客には売掛金で飲食させるのは銀座の文化、と称する人もいますが、売掛金回収をホステスに負わせ、未回収分をホステスの借金にするという前近代的な手法は、労働基準法五条で禁じられた強制労働にあたる可能性があります。
Aさんは「銀座のルール」と思っていたことが違法だとわかり、フリーター全般労働組合に加入し、クラブ・ココドゥパリと交渉を続けてきました。
しかし、誠実な回答が得られないため、店と経営者を相手取り、同僚のホステスと労働審判を申し立てました。


≪報道≫
共同通信 2010/11/11 19:04
ホステスが労働審判申し立て “銀座ルール”違法と
http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111101000835.html

毎日新聞 2010年11月11日 19時59分
労働審判:銀座の元ホステス3人申し立て 賃金支払い求め
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101112k0000m040055000c.html

時事通信 2010/11/11-20:24
銀座ホステスが労働審判=「罰金名目で給料天引き」−東京地裁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010111100938>http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010111100938

東京新聞 2010年11月12日 朝刊
“銀座ルール”に元ホステス異議 労働審判申し立て
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010111202000025.html