情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

朝日新聞の米軍基地特集記事はプロパガンダ?~公開質問状、本日発送

2009-12-19 09:35:08 | メディア(知るための手段のあり方)
 12月18日付朝日新聞朝刊3面(13版)に「在日米軍基地 なぜ縮小されない?」という特集記事が掲載されている。しかし、この記事には、思いやり予算の話が一言も触れられていない。「なぜ縮小されないのか」というテーマで、思いやり予算に触れないということは事実を直視していない記事、プロパガンダということなるのではないだろうか。これでは、戦前・戦中の大本営発表記事となんら変わらない。そこで、以下の質問状を送付することとした。回答がくれば、そして、回答を掲載して良いことになれば、本ブログにてアップします。(画像は、http://dailynews.yahoo.co.jp/fc%2Fdomestic%2Fus_armed_forces_in_japan%2F#backToPagetopより)



質問状

2009年12月19日

朝日新聞社主筆 
   船橋洋一 様
朝日新聞社編集委員 
   谷田邦一様
朝日新聞社ワシントン支局
   望月洋嗣様

冠省 2009年12月18日付朝刊3面(13版)に掲載された特集記事「在日米軍基地 なぜ縮小されない?」(以下、「本件記事」と言います)を読んで、非常に失望しましたので、執筆者とともに朝日新聞の論調をリードする主筆に本書面を差し上げることとしました。お忙しいとは存じますが、必ずお返事をいただきたいと願っております。
  
 本件記事のテーマは、タイトルのとおり、在日米軍基地がなぜ縮小されないかをテーマにしたものであり、普天間飛行場移転問題が重要な争点となっているいま、非常に時宜を得た記事であると思います。
 
 しかし、残念ながら内容には非常に問題があるというほかありません。なぜなら、基地が縮小されない理由として最も重視すべきは、日本側が負担している思いやり予算の存在だからです。少し古いデータですが、国防総省がまとめた報告書「共通の防衛に対する同盟の貢献」(Allied Contributions to the Common Defense :http://www.defense.gov/pubs/allied_contrib2004/allied2004.pdf)によると、2002年において、①同盟国全体での駐留米軍負担合計額は約85億ドルであるのに対し、日本の負担額は44億1134万ドル(当時の相場1ドル120円として、5293億6080万円)と50%以上を占め、世界的に見ても突出していること、②日本は在日米軍駐留経費全体の74.5%を負担しており、米軍駐留経費の負担額の比率で見ても、他同盟国の中でも高い割合となっていること、③世界全体で見ると、各同盟国が拠出した総負担額85億ドルは、米国外の米軍駐留経費総額の50%以上に当たり、そのうちの半分以上を担う日本は世界の米軍の他国駐留費用の約4分の1を負担していることが明らかとなっています(琉球新報参照:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-9173-storytopic-3.html)。

 この日本側の経費負担があることによって、米軍は本国に部隊を配備するよりも日本に部隊を配備した方が安上がりだからこそ、在日米軍基地が縮小されないことは明らかです。日本側が思いやり予算を縮小すれば、米軍基地も必然的に縮小するでしょう。それにもかかわらず、本件記事で思いやり予算にまったく触れていないのはなぜでしょうか?これが最初の質問です。

 そのうえで、本来、議論すべきは、このような多額の思いやり予算を支払ってまで米軍に駐留してもらう必要があるか否か(現在、他国によって攻撃される可能性が具体的に存在するのか。仮に存在するとして、いかなる軍備が必要か。軍事的手段以外に攻撃の可能性を減少する方法がないのか…など)、ということですが、本件記事においては、明確にはそのような問題設定をしないまま、「北朝鮮の核開発疑惑や中台間の緊張の高まり」を米軍の必要性の根拠として挙げているようですが、「中台間の緊張の高まり」は事実に反しませんか?むしろ、中台間の貿易は急速に増大しており、緊張は緩和しているのではないですか?これが第2の質問です。

 さらに、「北朝鮮の核開発疑惑や中台間の緊張の高まり」があるとして、それに対処するにふさわしい米軍が日本に駐留していますか?私には、中東派遣米軍の出先基地として機能しているとしか思えないのですが、専門記者としては、それぞれに対応するべき軍隊が日本に駐留していると考えているのでしょうか?これが第3の質問です。

 また、「沖縄の海兵隊は冷戦後、長く『空洞化』が指摘されてきた」、「部隊の多くが米本土から数か月交代で派遣される変則的な編成のままだからだ」と指摘されていますが、その理由については明確に記載されていません。しかし、本件記事の中で、ジャングル訓練施設に触れられているように、海兵隊は沖縄でのみジャングル戦に備えた訓練を行うことができるために交代で部隊を本土から派遣してきていることは、明らかです。つまり、沖縄の海兵隊は中国や北朝鮮に対する抑止力として存在してはいないということが明らかなのです。したがって、グアムに移転した後も訓練基地として沖縄を利用しようとしているのであり、普天間飛行場の代替施設を沖縄に設置しようとしているのは、訓練を行うために必要だからということが大きな理由でしょう。もう一つの理由は、日本に部隊が駐留している形を維持できれば、思いやり予算が獲得できるからです。この私見についてどう考えますか?これが第4の質問です。

 本件記事は、最も重大な事実である思いやり予算の存在に目をつむり、いかにも米軍が軍事上の必要性で自ら日本駐留を希望しているかのように書かれていますが、これは明らかに読者をミスリードするものです。戦前及び戦中、マスメディアが事実に目をつむった報道をして国民を惨禍に導いたことは、朝日新聞が夕刊で掲載した連載記事からも明らかです。久しぶりの本格的な政権交代が実現し、民主主義の真価が問われようとしているいま、事実に基づかない報道で読者を誘導するような記事は「有害」であり、プロパガンダという批判を受けても仕方ないと考えます。この点について、いかがお考えですか?これが私の最後の質問です。

 以上、普天間基地問題からも目が離せない折、できるだけ早くご回答いただければ幸いです。

 なお、この質問状は、ブログ(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005)にてすでに公開しております。ご回答も可能であれば公開させていただきたいと考えております。   不一



【PR】






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。


最新の画像もっと見る