情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

日米政府は、辺野古米軍飛行場新設を諦めたもよう~マスメディアは「日米関係が破綻」と書かないのかな?

2011-01-02 12:40:41 | 有事法制関連
 辺野古に米海兵隊の新飛行場を建設する計画がとん挫したようだ。辺野古を巡ってマスメディアは、建設が遅れると日米関係に亀裂が生じると連日のように鳩山たたきを続けたが、あのばか騒ぎはいったい何だったのだろうか?本来であれば、管政権も同様に叩かなければならないのではないか?いつ、マスメディアは、スタンスを変えたのだろうか?そして、それはなぜだろうか?メディアリテラシーの材料としてこんなに適切なものはないのではないだろうか?と皮肉の一つも言いたくなる。

 辺野古の頓挫については、共同通信が

【政府は31日、今春に予定される菅直人首相訪米時に取りまとめる日米同盟深化に関する共同声明で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を事実上、棚上げする方針を固めた】(http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010123101000254.html)

と直接的に報道したが、その直前、読売新聞(冒頭の画像)が、

【沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、政府が同県の基地負担軽減策として、同飛行場でのヘリコプター部隊の一部訓練の県外移転検討に着手したことが分かった。複数の政府関係者が30日、明らかにした。同飛行場のヘリ部隊の訓練移転が実現すれば初めてで、住宅が密集する同飛行場周辺の危険性除去にもつながる】(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101230-OYT1T00767.htm)

と普天間が継続使用されること(=辺野古が建設されないこと)を前提に報道した。普天間の基地負担軽減という記事の中で、「辺野古」の3文字がまったく出てこないことがそれを裏付けている。辺野古が建設されることが前提ならば、ヘリコプター訓練の県外移転と辺野古新飛行場との関係に触れないではいられないからだ。

 したがって、辺野古断念は、おそらく間違いないのだろう。

 そして、辺野古断念の主な理由は、上記共同通信が

【2010年12月の首相と前原誠司外相の沖縄訪問を踏まえ、日米合意に基づく同県名護市辺野古崎地区への移設に短期間で県民の理解を得るのは困難と判断】

と伝えたとおりなのだろう。

 他方で、共同は、

【米側が普天間問題の長期化を懸念し難色を示す可能性もある】

と付け加えてはいるが、読売新聞が12月30日の一面トップで、辺野古を断念したことを前提とした記事を書いたことからも明らかなように、おそらく米国は、この辺野古断念を受け入れているのだろう。日米関係の悪化をどの新聞よりも危惧していた読売新聞が自ら米国の意に真っ向から反するような記事を書くはずもないからだ。

 私見を裏付けるのは、朝日新聞の12月21日の記事(http://www.asahi.com/politics/update/1221/TKY201012210219.html)と1月1日の記事(http://www.asahi.com/politics/update/1231/TKY201012310292.html)だ。

 前者の記事は、沖縄海兵隊のグアム移転(一部は沖縄に残る)のためのグアム基地新設に関する日本側負担のうち、上下水道などのインフラ整備の出融資の枠組みについて合意したことを伝えるもので、次のような内容となっている

【当初は、日本政府から利子付きの融資を受けたJBICが事業者に融資する案が検討されていた。だが、これでは事業者への貸出金利が高くなり、米軍や島民の使用料収入だけでは事業者が返済できなくなる恐れもあり、日米間の協議は難航していた。
 そこで菅内閣は、日本政府からJBICに大規模な出資を行い、利子付きで貸す部分を少なくし、JBICによる低利の貸し出しを可能にする。JBICへの出資金は事業終了後に返還される予定。12年度予算以降の出資金の額は今後改めて検討し、融資部分から発生する金利は米軍が負担する。】

 簡単にいえば、日本の税金を無利子で米基地建設に出資してあげますよ、という太っ腹ぶりを示すものだ。なぜ、ここで新たな貢物をする必要があるのか?辺野古基地建設というプレゼントができなくなってしまう代わりだと考えると辻褄があう。

 後者の記事は、

 【沖縄県の米軍嘉手納基地に所属するF15戦闘機の訓練の一部について、米領グアムに移転することで日米両政府が合意したことが防衛省への取材で分かった。騒音被害の軽減のために2007年春から、嘉手納基地から国内の自衛隊基地へ振り分けてきたF15の訓練移転先に国外を加える構想だ。在日米軍の訓練の分散移転が進む中で、国外移転は初めて】

 というものだ。

 普天間基地を閉鎖するというのが、沖縄の負担軽減のシンボルとなっており、それ自体が海兵隊のグアム移転とパッケージにまでなっていた。したがって、普天間基地閉鎖が延期されれば、「グアム移転への日本負担なんてとんでもない。減額しろ~」という声が上がるのは必至だ。

 そこで、事前に、嘉手納の負担軽減も盛り込むことで、「嘉手納の騒音の一部をグアムに持っていくことになりました。日本が負担するインフラ整備はグアムの空軍基地維持にも役立つものです。ですから、これまで以上の負担を税金から支払ってもいいでしょう」ということになるわけだ。

 以上のように考えれば、それぞれの記事がつながってくる。

 米側が辺野古にこだわっているとしたら、嘉手納で妥協なんかしてくるはずもないしね…。かれらの交渉テクニックからして、類似問題で不満が残っている場合に譲歩をすることは考えられない。常に交渉経過を記録し、次の交渉に向けて準備をしている彼らにとって、嘉手納での譲歩はそんな簡単なことではないはずだ。

 え、それでは、普天間の負担が残ってしまうから、沖縄の市民が許さないのではないか?ですって…。

 いい質問です。実際に、グアムに海兵隊が移転すれば、沖縄に残る部隊はごくわずかとなり、普天間が事実上ほとんど使用されない状態となるでしょう。そうなれば、沖縄の市民の普天間への反対運動も鎮火する、とこう読んでいるわけでしょう。

 そう考える理由は、「再編実施のための日米のロードマップ」において、海兵隊のグアム移転と辺野古新設がパッケージになっていることです。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/ubl_06/2plus2_map.html)

 もし、海兵隊グアム移転後も普天間が盛んに使用されるならば、パッケージにする必要はないわけです。海兵隊グアム移転が実現したら、普天間がほとんど使用されず、辺野古を新設する必要がないことがばれてしまうために、パッケージにしたとしか考えられないわけです。

 もちろん、印象としては、先に述べたように、海兵隊のグアム移転のための日本側負担をさせやすくするために、パッケージにしたともいえます。しかし、普天間の機能をグアムに持っていくというプランであれば、その印象通りですが、実際には、普天間機能は辺野古に持っていくというのがロードマップなのですから、普天間の廃止・辺野古新設は、沖縄にとって負担軽減にはなっていないため、パッケージにされる意味がないわけです。

 しかし、なぜ、米軍は、せっかく、日本政府から獲得した辺野古の新施設を諦めることをこの時期に決意したのだろうか?

 やはり、知事選の結果、沖縄の民意が明確となったのが大きいだろう。

 なぜ、今か。
 それは、この問題を日本政府にかかえさせておくと、あらゆる政権が辺野古新基地を実現できず、マスコミのいう日米関係の深刻な亀裂が生じる恐れがあることを理由に政権を投げ出さざるをえなくなるからではないだろうか。



 なんだか、眠くなってきた…。ジャパンハンドらーたちの会話が聞こえてくるような気がする…。

 「いやぁ、自民党は壊滅的な状態になるかと思ったが、民主党が自民党の過去の反国民的な政策についてばらしたりしなかったから、なんとか壊滅は免れた。でも、こんなに早く、自民党に政権の目が出てくるとはね~」

 「ほんと。官僚がうまく、民主党閣僚をだましてくれたからね。それに、日本のマスメディアもうまくやってくれたね。本当におれたち米国政府のために記事を書いてくれているんじゃないか、って思うよね(シニカルな笑)」

 「朝日の新年の社説読んだかい。民主党に対して、公約(マニフェスト)を白紙にしろって言っている。それって、民主党を舐めているってことだけど、民主党に投票した有権者を馬鹿にしているってことだよね」

 「まぁ、あれだけ支持を失った自民党が何にも反省しないままで、支持率が回復したのは、マスメディアの貢献だから、有権者をばかにするのも当たり前だね。なんでもできるってことだ」

 「しかし、これで、自民党政権に戻ったら、マスメディアと政権の蜜月関係はさらに深くなるんだろうな」

 「そうなれば、我が国が資源を巡って戦争をするときに、日本の自衛隊も参加させることが実現するのではないか?」

 「そうだね、ショー・ザ・フラッグ、ブーツ・オン・ザ・グラウンド、の次は、Shed your blood(あなたも血を流せ)ってところかな」

 「そこまで露骨でいいのか(大爆笑)」

 「ただ、あまり行き過ぎて、軍拡が進むのも危険ではあるね」

 「そういうときには、行き過ぎた政治家をマスメディアを使って叩けばいいんじゃないか」

 「そうだな。マスメディアの痛いところはわれわれが押さえているんだから」(=シニカルな笑いの理由)

 …あ、嫌な初夢見ちまった。

 いずれにせよ、沖縄の皆さんの粘りがこの結果を生んだのではないだろうか。無駄な税金をグアムにつぎ込まされる日本の納税者が一番の敗者だ(そういう意味では沖縄の人も含む)。米国政府は、グアム移転費用を日本に負担させたので勝者。

 日本の政府は、日本の納税者に損をさせたという意味では本来責任が大きいはずだが、約束をした時の自民党政権は、いまは、野に下っており、痛くも痒くもない。民主党政権にいやなところを全てやらせた後で、政権に復帰することができれば、すばらしい勝利。そういう意味で、自民党は勝者、民主党政権は敗者だ。

 この構図を市民が共有し、問題が自民党政権にあったことを認識して投票することができれば、勝者と敗者が入れ替わることもあるのでしょうが…。

 …そういう夢を、ミ・タ・イ・ナ。デモ、ミンシュトウガ、ベイコクニ、ミツギモノヲ、ササゲルヨウナ、テイタラクブリデハ…。

 いったい、どこに投票すればいいんだろう?

 

■メディアリテラシーとしての設問■
「読売新聞12月30日一面トップの記事で、辺野古の3文字がまったく使われていない理由を考えてみよう」

「辺野古を断念との記事が明確書かれる際、日米関係の破綻という論調を避けるためには、どのような書き方をすればいいか、自分が新聞の主筆や主幹になったつもりで考えてみよう」







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Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8





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