「成功する自転車まちづくり」オプショナルツアー(3)
京都ろじ裏散歩(続き)
今日も自転車ツアー体験記です。
祇園南
大石内蔵助が遊びまくったという一力のなかに、芸妓さんが入っていった。
昼間から出歩いているのは変身舞妓さんだと言う話だったが、一力では昼間に舞妓さん芸妓さんと楽しむランチなんてコースもやっている筈なので、そんなお仕事かもしれない。
ガイドさんは昼間から本物を見られるなんてお客さんたちはラッキーですよ、と盛り上げる。
祇園南の路地(三項道路)は自転車を押して眺めながら通り過ぎる。
2.7mの道路を道路として認めてもらうための、あるいは認めるための街の人や行政の人の努力が結実した道なのだが、まあ、そういう話は観光にはややこしすぎるのだろう。
建仁寺、宮川町
建仁寺は臨済宗建仁寺派の大本山で栄西禅師が開いたお寺だ。
境内にはお茶の木もあり、それでお茶をつくってお茶会もやっているそうだ。
また、数日前までトヨタがレクサスを並べてライトアップし、展示会をやっていたそうだ。ガイドさんは、うまく境内を使っていたと誉めていた。
一方、宮川町は自転車にのって通り過ぎる。一瞬で通り過ぎてしまう感じ。
自転車をとめて説明をしていると地元の人に注意されたこともあるからだというが、やや勿体ない。
なお、ここでも4000円か5000円で舞妓さんとお茶が楽しめるお店があるという。
五条大橋と高瀬川
宮川町を抜けて松原橋を通り、木屋町を南下。五条大橋の橋詰めで牛若丸と弁慶の像を見る。
そういえば昔からあったような気がする。
なんだかポップな銅像で、どうしてこれが牛若丸?という感じだ。
そして五条通をわたって京都五花街には入れて貰えない六番目の花街、昔は娼妓さんもいたという五条楽園を横目で見ながら高瀬川沿いを南下する。景観まちづくりセンターの裏側にある高瀬川の碑のところで小休止。高瀬川の説明を聞いた。
この高瀬川、江戸時代に運河として作られ300年間、使われていたという。10kmほどあり、伏見港まで続いていた。京都と大阪の物資を運ぶ幹線であったが、同時に島流しになった罪人も運ばれたという。
とても浅い川だが、当時も水量は少なく、底が浅い特別仕様の高瀬舟が使われたという。
下りはラクチンだが、上りは両岸から引っ張ったという。
なお、この碑の向こうに見えるのは会津小鉄会の本部。さらに奥には任天堂の旧本社ビルがある。
今では世界の任天堂だが、もとは花札の会社だ。だから、こういう場所にあるのは至極自然なのだが、それにしては、とても綺麗な洋式のビルである。
ガイドさんの話だと、トヨタと肩を並べる世界企業なので外国人をつれてゆくと大感激だそうだ。
ビジネスとして成り立っているのが凄い
正直、コースを見たときは、よく知っている場所ばかりで「あれま!」と思ったのだが、それなりに楽しい3時間だった。
大正区の食旅、針江のまち歩き、そして自転車散歩と、この1ヶ月で三つツアーに参加したが、ビジネスとして成り立っているのは、この自転車散歩だけだった。
針江は地元の生活をまもりつつ、観光客にも街を開くことに主眼があり、ガイドさんはボランティアに近い。収益を環境保全に役立てているが、ビジネスとして成り立たせようとは思っていない。
食旅はビジネスとしての自立を目ざしているが、まだ、緒についたばかりで、前途多難という感じだった。
面白いのだが、ガイド料を払ってまで参加しようという人は多くないし、大阪に遊びにきて、明日は何をしようかと考えたときに選択肢となるほどには普及していない。
それなりの値段を払って、ガイドさんとともにまち歩きをするという文化がもう少し一般化しないと、難しいし、それには時間がかかりそうだ。
その点、自転車散歩は、京都という大観光地を手軽に回れるという「売り」がはっきりしているし、特に地理不案内な外国人を主な顧客として捕まえており、そのために通訳ガイドさんを揃えているといった体勢の充実も見事だ。
まち歩きと違って自転車という手段を提供している点も大きいと思う。
見知らぬ大都市で、自転車に乗るのは結構難しい。誰かが案内に付いてくれるのは、とても心強い。その点、歩く場合と比べて、ガイドさんの値打ちが認められやすいのではないだろうか。
だが針江のように住民の方が案内してお家のなかにも入れてくれ、ときには田中三五郎とも会えるといったサプライズはない。
また、食旅のようにガイドブックには出てこないお店で食べられるという強さもない。
正直、京都の表面をなでるようなところでとどまっているような感じがした。
ただ、僕たちが参加したのは言ってみれば入門コースで、おばんざいづくりや友禅染を体験したり、京町家を隅々まで見る機会がセットされたコースもあるという。
旅の喜びは食べる、買うにあるということ、また地元にとっても食べて、買ってもらってこそ産業が育ち、雇用が生まれることを思うと、本格コースに参加しないと真骨頂は分からないのだろう。
ともあれ、自転車ツアーが京都から生まれ広がっていることは京都市民として実にうれしく、誇らしいことだ。
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