英メディア「BBC」では、国際ジャーナル誌『Cognition』に紹介された、2つの研究結果を紹介しています。

 米プリンストン大学では、28人の被験者に90秒与え、3種類の異星人について、それぞれ7つの特徴が書かれたリストを記憶させました。

片方のグループは、一般的に読みやすい16ポイントの「Arial」で書かれたリストを、他方のグループには、12ポインントの「Comic Sans MS」や「Bodoni MT」など、普段読み慣れないフォントで同じ内容が書かれたリストを渡したそう。15分置いて、どれだけ記憶しているかテストしたところ、読み慣れないフォントで書かれたリストを手渡されたグループのほうが、平均14%もよく覚えていたそうです。

同研究チームでは、オハイオ州の中等学校(secondary school)に通う、15~18歳の生徒222名にも実験を行いました。補助教材をオリジナル版、「Haettenschweiler」、「Monotype Corsiva」、「Comic Sans Italicised」といった、読みづらいフォントに変更したものの2パターン準備し、2つのグループにそれぞれを振り分けたそう。すると、読みづらいフォントの教材を利用した生徒のほうが高い成果を出したとか。この結果は、英語のみならず、物理や歴史といった教科でもみられたそうです。

もちろん、英ロンドン「Institute of Education」のDylan Wiliam教授によると、「これらの実験結果は限定的なものなので、フォントさえ変えれば、学習効果が出るとは一概にはいえない」と指摘。ただし、読みづらいフォントによって、ゆっくり読むようになるという面はあるそうです。

教育の現場で、この理論を応用すべきかどうかについては、まだ議論の余地がありそうですが、語学の学習など、普段、私たちが学習する上では、参考になりそうなお手軽勉強術ですね。アルファベットフォントだけでなく、日本語フォントでも、ちょっと試してみる価値ありそうです。

Making things hard to read 'can boost learning' [BBC News]

Kevin Purdy(原文/訳:松岡由希子)