テーマ:エコライフの工夫♪(808)
カテゴリ:フライブルク
altstadt, freiburg posted by (C)solar08 私が住むフライブルク市は、日本の環境関係の方々からはよく「環境首都」と呼ばれています。 それは、十数年前に「ドイツ環境救済」というNPOが行っていた「環境首都」コンクールに一度だけ優勝し、その年の環境首都に選ばれたからです。 その後は他の都市にこの栄光をゆずり、やがてはこのコンクールもなくなりましたが、フライブルクはいまだにエコ都市としての名が高く、自らもグリーン・シティーを名乗り、二酸化炭素の排出を2030年までに40%下げることを目標に掲げています。 上海のEXPOにも展示をしているとか。 フライブルクは一昨日、「ドイツ環境救済」が数年前から開催している「気候保護(地球温暖化防止のことを、ドイツではこう呼んでいます)における連邦首都」のコンクールで、人口10万人以上の「大都市部門」で優勝しました。 このコンクールには73の自治体が参加しました。大都市部門での二位はフランクフルト、三位はハイデルベルクです。 コンクールでは「省エネ」「グリーンITとエネルギー効率のよいオフィス」「エネルギー生産」「交通対策」「住宅地のデザイン」「広報活動と財政」の各部門で、どのような気候保護対策をしているか、そしてどのような具体的なプロジェクトがすでに実行しているかが問われました。 フライブルクは市の土地に建てられる住宅については、国の基準よりも厳しい「低エネルギー住宅基準(断熱材とか断熱ガラスの窓などで、暖房エネルギーを節約する)」を設けています。国の基準が厳しくなると、フライブルクは独自の基準をもっと厳しくしてきたのです。 ある社会住宅をエネルギー改装して、ドイツ最初のパッシブハウス(南側に断熱ガラスの窓を大きくとり、北側を断熱して太陽熱を暖房に取り入れる、換気の際に屋外から取り入れる新鮮な空気を、屋内の空気の熱で温めるなど)て高層住宅を実現したこともあります。 学校などの市の建物275の一部もエネルギー改築し、新築される市の建物もパッシブ構造。 passivhaus, freiburg posted by (C)solar08 交通面では、二十年以上前から市の中心部の車進入を禁止したり、トラムやバスを拡充したり、誰もが利用できる共通切符や定期(レギオカルテ)をドイツで最初に導入したり、自転車専用レーンを整備したり。 自転車利用は市内移動手段の30%をなし、国内の平均を大きく上回ってします。自転車に乗れない私はひたすら歩きますが。 でもね、フライブルクの環境対策や気候保護で注目したいのは、市の行政よりも個人や市民グループなのよね。 たとえば、日本のテレビでも何回か紹介された住宅地「ヴォーバン」。 ここは市の都市計画に市民グループが最初から口出しして、環境にやさしい住宅地になったところ。 ここでは、↑のようなパッシブハウスが目白押し、屋根に太陽熱温水装置や太陽電池を備えた家もたくさんあります。 もっと進んで、これらだけでなく天然ガスのコージェネレーション(発電と共に、そこで出る廃熱を暖房や温水供給に利用するので、ただの発電より効率がずっと良い)装置で自家発電する建物もあります。 一部の地区は「車のない地区」で、子どもたちが道路で遊んでいます。 おもしろいのはフライブルク大学(国立)の環境保護スタッフが実行している公用自転車(ヘルメットつき)二台。 大学職員に公共交通での通勤を奨励するために、↑のレギオカルテの約25%分(年間12000円ぐらい)の補助金を出しています。 そのほか、昔から市内の水路で水力発電をして、その電力でクリーニング・布染め業を営んでいる企業、太陽熱と木材ペレットで暖房している家庭とか、こまごまとした個人や企業や団体の努力が見られます。 フライブルクは市長も緑の党の人ですし、緑の党の得票率も、ドイツ内の平均を大きく上回っていますから、ちょっと例外的かもしれません。 でも、こういう町は外人排斥とか差別や若者の暴力も少なくて、やっぱり住みやすいわ。 ともあれ、市がこの「気候保護での連邦首都」に優勝したことがきっかけとなって、環境関係で元気を取り戻してほしいものです(このところあまり冴えなかったので)。 そういえば、市は賞品として、ファーストソーラーという企業から出力30キロワット分の太陽光発電装置ももらったそうです。賞金よりも、こういう賞品の方が意味がありますね。 (フライブルクの環境対策については、これまでブログに時折書いた記事などを参考にしてください) SCFreiburgのスタジアムの屋根に取り付けられた市民太陽光発電装置 posted by (C)solar08 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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