「成功する自転車まちづくり」オプショナルツアー(1)
京都サイクリングツアープロジェクト
10月23日の古倉宗治さんのセミナー「成功する自転車まちづくり」のオプショナルツアーに参加した。
主催は京都サイクリングツアープロジェクト。定番コースの「京都ろじ裏散歩」をセミナー向けに少し短縮いただき、そのかわり事前資料等を充実いただいた。
この京都サイクリングツアープロジェクトについては7月7日に海津ゆりえさんの『日本エコツアーガイドブック』に関連して紹介したが、京都最大のレンタサイクル&サイクリングツアー会社だ。
セミナーの報告で、多賀さんは自分たちのやっていることは、屋久島などで自然を堪能するエコツアーとはちょっと違うと言われていたが、環境負荷の少ない方法で観光振興を図り、地域経済の活性化や地域社会の強化に貢献しているという意味では、掛け値なしに都市型エコツーリズムの代表格だと僕は思う。
「環境への負荷が少ない観光」は分かりやすいが、地域経済の活性化や地域社会の強化については、多少説明がいるかもしれない。
前者は、たとえば路地裏や、金閣と銀閣の間にある西陣などのスポットなど、普通の観光では行かない場所に来訪者を案内し、地元のお店を堪能して貰えるということがあげられる。また有料ガイドという雇用を創出しているという点も、小さいとはいえ、無視できない。
後者は、京都の自転車のソフト、ハードのインフラを整えていくという効果だろう。
本当は京都の人たちがもっと参加するコースを開発し、自転車利用に目覚めていただくのが一番なのだが、それは容易ではない。
しかし観光客、とくに外国人が自転車で観光をして回る姿を見なれてくると、京都の人たちの自転車を見る目も変わってくるだろう。
実際、海津ゆりえさんの本ではツアーに利用してもらえるように駐輪場を借りるお店まで現れたという話が紹介されていた。
お客さんの路駐は当たり前という意識を少しでも変えられたのだとしたら、たいしたものだ。
エコツアーは自然体験ツアーと混同されることが多いが、エコツーリズムは自然体験ツアーの総称ではない。
むしろ持続可能な開発の議論と並行して生まれた持続可能な観光をめざす思想だと思う。そのあたりは真板さんの『宝探しから持続可能な地域づくりへ―日本型エコツーリズムとはなにか』に詳しいが、まあ、理屈はともあれ、ツアーの中味を紹介しよう。
京都ろじ裏散歩
集合!
10時前に行くと、たくさんの人が集まって、めいめい、自転車の乗り心地を試してた。
京都サイクリングツアープロジェクトの営業の森田さんに挨拶。今日はてんてこ舞いだという。すでに市内のホテルから20名のグループを送り出してきたところで、ツアーもフル操業。60名が出るという。またレンタサイクルも売り切れになりそうとのことだった。
今年は暑すぎたり、天候に恵まれなかった日が多かったから、久しぶりの観光日和。ツアー参加者には京都を堪能頂けることになった。
10時、定刻より少し遅れてメンツが揃う。
20名のメンバーが四つの班に分かれて、それぞれにガイドさんがついている。
僕たちのガイドさんは高倉さんだ。
周りを見回すと女性のガイドさんが多い。
彼女たちは通訳ガイドの資格を持っているという。外国の方がお客さんの6割を占めるというから、当然の備えとはいえ、これは他の真似できる事ではない。
鴨川を走る
出発。塩小路通りのスクランブル交差点は降りて自転車を押して渡る。普段なら車に混じって走り抜けるところだが、ツアーなので安全第一という話だった。
七条通りは車道を走るのも恐いが、歩道も狭い。木津屋橋通りをタラタラ行ったほうが良いようにも思えるが、そうすると最初から迷路で、混乱させてしまうからか、大通りを直進する。概ね歩道を走って鴨川に出た。
鴨川の散歩道を北上。今日は比較的すいている。
五条大橋(左の写真)のたもとで説明とストレッチ。
昔、牛若丸と弁慶が出会った場所だ。でも本当は今の五条大橋ではなく、もう少し北上したところにある松原橋だったとのこと。そして、五条通の真ん中にあった公園が、水道工事のために仮設構造物で覆われたが、そこに京都市立芸術大学の学生が京都の街を紹介する作品を描いていることを教えて貰う。
次は三条大橋(右の写真)。
東海道の終着点であり、橋は造り直されているが、擬宝珠が付けられるなど昔の風情を残している。
池田屋も付近にあるが、今は居酒屋になっていて大階段も設えられているそうだ。
そして、先斗町の歌舞練場では鴨川踊りが催され、今も芸妓舞妓さんが練習しているといったお話を聞く。
鴨川の床の話も出た。
ガイドさんは年に一度ぐらいは行っているとのこと。とても気持ちが良いらしい。
僕は値段の割には・・・だが、支払いは連れがするので気にしていないということだった。
なおこの付近、昔は処刑場だったという。
今は、知ってか知らないでか、カップルが多い。彼らが等間隔に座ることでも有名な場所だ。
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・古倉宗治著『成功する自転車まちづくり―政策と計画のポイント』
・真板昭夫、比田井和子、高梨洋一郎 著『宝探しから持続可能な地域づくりへ―日本型エコツーリズムとはなにか』