ジョブス氏のベンツ ナンバープレートなしの謎

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    ジョブス氏のベンツ ナンバープレートなしの謎

    なぜでしょう? どんな理由があるのでしょう? そもそもプレートなしでいいのでしょうか?

    スティーブ・ジョブス氏の愛車2007 Mercedes-Benz SL55 AMGにナンバープレートがつけられていないらしいというのは、有名なお話。あちらこちら目撃写真とられています。

    ナンバープレートなしの車画像よりもさらに数多く出回っているのは、シリコンバレー1のプレート嫌いジョブス氏は一体どうやってプレートなしのスペシャルルールを手にいれているのか? という多種多様な推測。日本同様にアメリカだってナンバープレートつけなくちゃいけないという決まりがあるのですもの。

    ある人が言うには、プライバシー保護のために特別に認められている、とか。またある人が言うには、ジョブス氏がプレートをつけるたびに信者達が持っていくからだ、とか。はたまた、DMV(The Department of Motor Vehicles)と裏で手を結んでおりなんとかかんとか、だとか。ジョブス氏がナンバープレートをつけていない理由の噂はたくさんあるのです。

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    さて、では現実にはどうなんでしょう? 噂どおり何か特別な理由が? 確かにジョブス氏が相当な額の税金を州に払っています、でもそんなことでカリフォルニア州DMVがジョブス氏を特別扱いすることはないそうです。カリフォルニアにはLAがあります。超有名女優俳優モデル達も駐車違反スピード違反でエコヒイキされることなくチケット切られている州ですもの。

    DMVのスポークスマンJan Mendoza氏曰く「誰だろうと関係なし。リンジー・ローハンさろうが州知事のシュワルツネッガーだろうが、誰でも必ずナンバープレートをつけなくてはいけません。つけてない場合は警察に止められる可能性はもちろんあります。」

    誰だろうと関係なし! このセリフはもう何度となく高速道路専門取り締まり担当警察や弁護士やそしてもちろんDMV職員が幾度となく繰り返しつづけてきた台詞でしょう。

    捕まる可能性が低いとしても、公共の場を走っている以上誰かに通報されたり、警察にみつかったりする可能性は多いにあるわけです。税金を多額におさめてようがそこは同様のリスクです。

    ほうほう。ではジョブス氏のシチュエーションは一体どんな裏技使っているのでしょうか?

    州法の微妙なニュアンスと交通ルール、そこを詳しく見ていくと、ジョブス氏の裏技が見えてくるようですよ。

    どうやらカリフォルニア州では90日間はプレートなしで運転することができるそうです。例えば誰かが車(新車・中古車問わず)を購入したとします。ディーラーはナンバープレート発行のために必要な書類をそろえてDMVに30日以内に提出しなくてはいけません。提出後、DMVが申請を処理してプレートを発行して車の購入者まで届けるの4週間から6週間かかります。ということで、この期間中は仮のプレートを運転席の横の窓のとこに表示しなくてはいけないそうですが、プレート自体はないということになります。

    地元の交通課に言わせると、プレートがないだけの車よりも他に怪しいとこがある車の方を止める方がよっぽど多いそう。Santa Clare(ジョブス氏在住のエリア)のDeputy Gregory Talyor警察官は「たいていの場合、新車だなと思う車がプレートなしでもわざわざ止めてチェックしたりしない。」と言いますし、CupertinoのSandra Powell警察官も、「他にやることいっぱいあるしな。」と、いちいちかまってられないと話します。

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    なるほど。さらには罰金の問題。例え警察に捕まってプレートなし違反でチケットをきられたとしても、その罰金は65ドル未満(約5500円)。最悪のケースで65ドルであって、大抵の場合はチケットを切られても「ちゃんと改善してプレートつけました!」と後から申し出れば10ドル程度(約850円)の罰金で済んでしまうそうです。

    こんだけあちこちで目撃されてるジョブス氏のプレートなしメルセデス。この目撃情報がなによりも、ジョブス氏は特に深刻な問題もなくプレートなしで運転できてるって証拠です。Santa Claraと近隣エリアの交通関係の記録をみても、どうやらジョブス氏はプレート関係の罰金はないようです。すくなくとも、Santa Cruz、San Mateo、San Franciscoの地域ではジョブス氏がプレート非表示なことによって捕まったケースはないようです。

    ジョブス氏が2006年から今まで捕まったケースは2件。スピード違反だけです。これ以外に謎のチケットがあるようですが、これはジョブス氏ではなくAppleの名のもとに2007年、車の登録漏れで切られているそうです。が、証拠不十分として後に取り下げられています。

    ということで、特にチケットを切られていないようなので、ジョブス氏の車問題で1番多いのは、Appleキャンパスないで障害者専用スペースに得体のしれないメルセデスが停まってて迷惑だという従業員からの苦情が圧倒的でしょうか。

    その他にプレートなしで今までやってこれている理由に走行距離があげられます。各車についているID番号から得られる情報で、2006年後半にジョブス氏に購入されたこのSL55は現在までで役21,800マイル(約3万5千キロ)しか走っていないということがわかりました。ということは年に5,500マイル(約8千8百キロ)。年間12,000マイル(約1万9千キロ)というアメリカ人平均を大きく下回ってます。走る距離が短いということは、車の出番が少ないということ、つまり警察にプレートなしで止められる確率もぐんと下がるということですね。

    なんとなくですが、なぜプレートなしでも運転できてるのかわかってきましたね。もともと捕まる可能性が低いタイプの違反であること、さらに車の出番自体が少ないということ。

    とは言っても、なぜジョブス氏はプレートなしにこだわるのでしょうか? なんか利点があるのでしょうか? どうやらそうでもないようです。Appleの元警備担当者いわく、プレートがないことでよりいっそう面倒で危険だ、ということ。警備員としてこれまたシチ面倒な状態だったそうです。

    プレートがないことで逆に目立ってしまうジョブス氏の車。注目を浴びているようです。

    つけないでもなんとかなるというのは、今回の調べでなんとなくわかりましたが、ジョブス氏がなぜナンバープレートをつけないのか...。そこはやっぱり本人しか知らないようです。

    残念ながら最大の謎はやはり謎のままで。そして謎があるからこそファン達は彼にますます惹かれていく、ミステリアスな人の魅力ですねぇ。

    ...すっごいくだらない理由だったら嬉しいな。

    イラスト:Chuck Anderson(www.nopattern.com / Twitter

    イラストの元になった写真:Flickr user leoprieto

    Photo:lodev

    Bryan Gardiner(原文/そうこ)

    ※コメントありがとうございます。修正しました。