アメリカ人がみた、「日本の女子高生とガジェット文化」について

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    アメリカ人がみた、「日本の女子高生とガジェット文化」について

    アメリカ人が、日本の女子高生とガジェットの関係についての本を出したそうです。

    タイトルは『Japanese Schoolgirl Confidential』。著者はkotaku.comのライター、プライアン・アシュクラフトさん。

    ええ?なんでそんな本を!?と思わずにはいられませんが、中々興味深いではありませんか!

    どんな内容なんでしょうか...米Gizmodoによる紹介記事は、

    「日本の携帯電話革命が日本独自のガジェット好き文化を増殖させ、80%の日本人が携帯電話を所有し、第3世代携帯電話を持つユーザー1億人以上いるというこの国において、昨今の携帯の凄まじい発展のすべての始まりは、ビジネスマンからではなく、女子高生のポケベルから始まった」

    という文章ではじまっています。

    なるほど。そういえば、ほんの15年前まではケータイなんて誰も持っていませんでしたものね...

    以下、続けて米Gizmodoによる紹介記事をお送りします。ポケベルに関する考察とか、写メールiモードの流れなど、上手にまとまっていてなかなか納得させられる所も多いですよ。

    ポケットベルは、もともとサラリーマン向けのものとして作られたのだが、90年代前半には女子高生を中心に一気に流行し、さまざまなバリエーションのポケットベルが販売されるようになった。

    文化人類学者の伊藤瑞子教授によると、この時代のポケットベルによるやりとりが、日本における一番最初の若者のガジェットによるコミュニケーション手段であったという。

    ビジネス用途のはずのポケットベルが、当時の女子高生によってどのような使われ方をされてきたのだろうか。

    単にコールバック用の電話番号を送るためだけの用途から、女子高生によって「羅列された数字からメッセージを読み取る」という方法が発明された。この暗号的な「数字によるメッセージ」は、学校や地域によって読み方や作法が異なり、親や学校の先生には理解不能な、秘密のメッセージの伝達手段として独自に発展していった。

    例えば、

    3341 = 3(サ) 3(ミ)4(シ)1(イ) = サミシイ

    106410 = 10(テ)6(ル)4(シ)10(テ) = テルシテ

    14106 = 1(アイ)4(シ)10(テ)6(ル) = アイシテル

    このように数字の読み方を工夫してメッセージを送り合っていたのだ。

    やがてポケベルが進化し、電話から打った数字から平仮名を表示できるようになった。「1・1」と打つと「あ」と表示され、「2・1」と打つと「か」と表示、「3・1」と打つと「さ」と表示される、といった具合にだ。

    「この女子高生によるポケベルブームにいち早く業界は参入した」、と伊藤教授は言う。モバイルサービスのプロバイダーは、この潜在的な女子高生マーケットに乗り出し、さまざまな種類のポケベルを売りだしていった。

    そして従来の数字しか表示できない機種から、数字の組み合わせによってカナが表示できるようになった機種が登場した。

    これが、日本におけるテキストメッセージングの始まりだった。

    女子高生が公衆電話から凄まじい速さでポケベルにメッセージを打つ姿は、1990年代半ばでは一般的な光景となった。

    「この女子高生発のコミュニケーション手段が社会現象となったいわゆる世代の「逆転現象によって、残りの世代が一気に飲み込まれていった時代だった。これが、今の時代の多機能携帯が進化している現在の市場の原点である」と伊藤教授は語る。

    1994年の法改正により携帯電話が購入しやすくなったことが発端となり、最初の携帯電話革命が起こり、その2年後にNTTドコモから初のPHSシティフォン)が発売された。

    それは携帯のようで携帯ではなく、国内電話のみで都市部でしか使えないというものだったが、同級生とだけ連絡が取れれば良かった女子高生にとって、それは全く問題ではなかった。

    シティフォンは女子高生向けに作られたものではなかったが、シティフォンの方が携帯電話より料金が安く、親にシティフォンを買ってもらえる可能性が高くなったこともあり、彼女たちのニーズに見事にマッチしたのだった。

    「携帯電話は彼女らの生活に革命的だった」と伊藤教授は言う。

    「それまでは女子高生はクラスの中では十分におしゃべりができず、かといって家の固定電話では親によって監視されていた。プライベートなおしゃべりを携帯電話が可能にしたのだ。」

    日本のケータイ(携帯電話)は、話をするというよりも、メールのためのデバイスとして使われる傾向にあり、日本のケータイの形は手にフィットし、画面に集中しやすい形状だ。

    「女子高生にとって、ケータイは天の恵みのような存在だった。家の電話を家族で共有し、窮屈な思いをしていた時代から、プライバシーが確保され、いつでも持ち歩くことが出来、友達と24時間つながることができるようになった」と伊藤教授は言う。

    そして、1990年代後半プリクラが全盛期だったころ、初めて写メールができるケータイがシャープから発売された。そして写メールは大流行し、写メール用の小さいプリンターが発売されたり、キヨスクで写メールが印刷できるといったサービスが生まれたりもした。

    そしてついに1999年、ケータイからのインターネットとEメールを可能にしたiモードが、NTTドコモからリリースされたのだ。

    Eメールは、文字数制限があったショートメールよりも長いテキストが送信できるようになったことで、真っ先にiモードに飛びついたのは女子高生だった。

    「90年代後半は、ショートメールは女子高生の文化と思われており、当時男性はショートメールを使うのをためらっていた節があった。しかし今では男女問わずメールは欠かせないものとなっている。」

    伊藤教授のデータによると、ケータイを所有する女子中学生・女子高生の100%がメールを使っているという。昨今のケータイの普及、特に今では標準の機能とされているインターネット通信機能の流行は、日本の女子高生が貢献していると言っても過言ではない。

    そして昨今では、若い買い物中毒の女性は、ケータイ向けに作られたファッションのオンラインショップサイトに夢中になっているようだ。

    日本ではPCによるインターネットの利用比率は男性の方が多いが、ケータイからのインターネットアクセスは女性が多く、特に若い女性の比率が多い。

    「メヴァエル」という企業が販売する「ケイボード」は、携帯電話の形をした携帯電話式文字入力キーボードで、携帯の入力インターフェースでPCへの文字入力を可能とした製品だ。

    また、東京ガールズコレクションの情報を発信するケータイサイト、GirlsWalker.com が2000年の夏にリリースされ、ケータイから渋谷の人気ショップの洋服を買えるようになっていて、2008年のデータによると、65%の10代の女の子が、GirlsWalker.comから買い物をしているようだ。

    うんうん。なるほど。ポケベルとか、シティフォンとか、写メールiモード、なんだか懐かしい言葉がいっぱい出てきて懐かしいです...!

    「11(あ) 12(い) 32(し)44(て)93(る) 89(はーと)」って打ったの思い出しちゃいますね! きゃー!

    kotaku.comのライター、プライアン・アシュクラフトが執筆した「Japanese Schoolgirl Confidential」は、日本のセレブや評論家、女子高生のインタビュー、さらに日本の女子高生に影響与えた映画、音楽、雑誌、アート、アニメ、漫画、ファッション、テクノロジーなどについて書かれているそうです。

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    Jason Chen(原文/mayumine)