“今週のボス犬”は、ジョージ・リカース師です!
自身がゲイである事実を隠しながら、同性愛を抑圧する政策に加担している(保守陣営の)クローゼットの政治家や公職者の存在が、たびたび論争の種になる米国。
そんなうちの一人、George Rekers牧師は、性的指向が同性へと向かっているゲイの人たちを“治療”し、異性愛者に戻そうという協会NARTH(National Association for Research and Therapy of Homosexuality)の理事を務めるようなお方(当時)。
このリカース氏が、「手術のために自分で荷物が運べないから」という理由で、男娼(レント・ボーイ)同伴の10日間のヨーロッパ旅行を満喫していた事が発覚、これは怪しからん!ということで大騒ぎになりました。
さらには、荷物を運べないはずのリカース氏が、大きな荷物の山と悪戦苦闘している横で、悠々と手ぶらで立つレント・ボーイのルシアン君、という旅先での写真がパパラッチされてしまうにいたってスキャンダルはさらに加熱し…。
この“男らしさの番犬”のようなリーカース氏を、『今週のボス犬』“Alpha Dog of the Week”として取上げて、物笑いの的にした、コメディアン、スティーブン・コルベアの『コルベア・レポート』が、6月5日(土)の【レズビアン&ゲイの英会話クラス☆レインボー】のトピックでした。(講師はドン先生)
レッスン中の課題は、コルベアのトークの中に隠された当てこすり“innuendo”(ぶっちゃけて言えば下ネタ)を探そう!というものでした。
『コルベア・レポート』の会場では、コルベアが話すたびに、爆笑の渦なのですが、私たちが座る教室では、正直、何で笑っているのか良く分かっていないような状況が生まれていましたね。
笑いの理由を、種明かしされると、今度は、下ネタを種明かしされるとなんか野暮な気もしてきたりして…。
というわけで、前回のドン先生のクラスは、高〜度な知識と教養が求められる、難易度の高いクラスでした!
たとえば、コルベアが次のように言った中にも、リカース氏への当てこすり(innuendo)がちゃんと隠されています。
- Technically I believe he was looking for someone to hoist his sack. 専門的にいうならば、リカース氏は、“大荷物を持ち上げる”人を探していたのだと思うわけです。(と、会場は、ドカッと大笑い)
ここで「荷物を持ち上げる」と訳された“hoist his sack”の“sack”には、「(買い物)袋」などの意味の他に「陰嚢(つまり、玉袋のことですね)」の意味があるとのこと。
つまり、リカースさんが必要としていたのは、自分の玉袋を持ち上げてくれる人。夜のお相手だった、というのが種明かしです。
もうひとつ紹介すると
- So, Mr.Rekers, for publicly condemning man love while privately being man's best friend, you, Sir, are my Alpha Dog of the Week. リーカー氏は、公には、男性への愛を非難しながら、ひそかに人類の最良の友(=犬)だったわけです。そうです、みなさん、今週のボス犬だったわけです。(会場、爆笑と拍手)
“man's best friend”「人類最良の友」は、「犬」のこと指す、お約束の言い方。
そしてこの表現を直訳すると、「男の最良の友」となり、男娼と一緒に旅を楽しんだ、リーカー氏の行動を皮肉っているだけでなく、『今週のボス犬』コーナーという、最初の話ともつながり、オチが付いたわけです(ふう、説明、疲れた)
さてさて、クラスの最後で、ドン先生が、「もし同性愛者であることを隠しているクローゼットの政治家とゲイバーで知り合ったら、メディアに伝えることは必要だと思いますか?」という質問で問題提起。クラスの反応は「絶対言わない。かわいそう…」という同情的な空気が支配的だったように感じましたが…。
他の同性愛者たちの権利を迫害する“悪徳”公職者のセクシュアリティが暴かれて、その無様さを、最後には、みんなで笑うための「登場人物」として、クローゼットの公職者が用意されているようにも思えないこともない米国のゲイ運動の政治的、劇場的状況について、みなさんのお考えは?
- クラスの題材になった『コルベア・レポート』以下のサイトでチェックできます