英首相、「大きな政府」に代わり「大きな社会」を
英国の与党・保守党を率いるキャメロン首相は19日、中部リバプールで演説し「大きな政府」に代わり「大きな社会」の建設を後押しする意向を表明した。慈善団体や社会的起業家らに社会政策の多くを委ねる構想。民間銀行の「休眠口座」の資金を元手に「ビッグ・ソサエティー・バンク」と名付けた銀行を創設することも発表した。
新銀行は政府から独立した組織として来年4月にも発足し、非政府組織(NGO)などの活動を支援する。利用者が存在を忘れたり一定の期間を超えて放置したりした預金を資金として活用する方針で、関連する法整備も終えた。フィナンシャル・タイムズ紙によると資金は6千万ポンド(79億円強)に達する見通しという。
キャメロン首相は「社会なんて存在しない」と言い切ったサッチャー元首相と一線を画し、社会政策も重視する新生・保守党としての立場を強調する立場。野党・労働党は「歳出削減を取り繕っているだけ」と批判している。(ロンドン=岐部秀光)