論点を整理してどこが悪いのかをはっきりさせて欲しい

今後、税金を原資とする競争的研究資金で科学コミュニケーターを雇い、自分の研究成果を発表してもらうときが来るかもしれないので、論点はどこにあり、何がまずいと見なされているのかをはっきりとさせてほしい。

福岡県議会の井上順吾議員(58)(自民党県議団)が、自身のホームページに載せているブログの「添削料」として年間約100万円を知人男性の会社に支払い、うち50万円を政務調査費で賄っていたことが読売新聞の調べでわかった。

政調費の収支報告書に添付した領収書には「HP保守管理料」と実態と異なる記載がされていたことも判明。ブログは地域の行事などを報告する内容が多くを占めるが、井上議員は「重要な情報発信であり、政務調査費を充てても問題ないと思う」と説明している。

井上議員の公式ホームページにはプロフィルなどのほか、自身の活動を紹介する「順吾の一日」と題したブログが掲載されている。スポーツ大会など行事の様子に加え、県議会の報告や「子育て終了宣言」と題した次男の結婚式の話など身辺雑記も散見される。

ブログは一文がやや長めで句読点が少ないのが特徴だ。政調費の支出が明らかになった昨年度分は月平均で18回更新しており、1回の添削に約4600円払ったことになる。閲覧数は1日平均40件程度という。

井上議員は4月30日付で県議会議長に提出した政務調査費の収支報告書に、「H/P(ホームページ)保守管理料」と手書きされた領収書を2枚添付。この領収書によると、昨年10月と今年3月の2回、環境問題やエステ店の経営などを事業内容とする福岡市内の会社に計100万8000円を支払っていた。

いずれも領収書添付用紙の余白に「按分(あんぶん)率50%」と書き込んでおり、半額の計50万4000円を政務調査費から支出したことを示していた。

井上議員によると、支出先の会社は、同郷の福岡県大野城市出身の男性が経営。井上議員は「同郷で男性が自分の選挙を応援してくれた縁もあって頼んだ。随意契約みたいなものだ」と語った。

さらに、具体的な委託内容について「男性にはブログの文言や表現を添削したり、独りよがりになっていないか、内容のアドバイスを依頼した」と述べた。ブログを更新後、男性にネット上で見てもらい、誤字や脱字を直しているという。

しかし、記者が「それは領収書に書かれた『ホームページの保守管理』にあたるのか」と指摘すると、「保守管理は別の会社に年間約6万9000円で委託し、後援会が支払っている」と説明。領収書の添え書きが実態と違うことを認めた。

井上議員は「保守管理という名目は訂正したい」とする一方、「誤字や表現をチェックしてもらっており、適正な支出。価格が高いと指摘されるのなら、減額を交渉したい」と話している。

読売新聞は領収書を発行した会社を通じて男性に取材を申し込んだが、18日までに返答はなかった。
(2010年7月19日10時01分 読売新聞)

記事からすれば論点となるのは以下の点

  1. 収支報告書に添付した領収書には「HP保守管理料」と実態と異なる記載がされていた
  2. 公式ホームページには議員の活動報告とは見なしにくいプライベートな事項も含まれていた
  3. 議員の活動報告とプライベートな活動報告が混在したブログの添削料を政務調査費から出していた
  4. 1回の添削に約4600円払った

1の「収支報告書に添付した領収書には「HP保守管理料」と実態と異なる記載がされていた」は微妙。HP保守管理に一体何を含めるかにより、これは商慣習によるのではないかと思う。大学の場合は、大学のWebサイトのサーバー費、コンテンツ管理システムの保守費の他に、Webサイトのコンテンツ管理(追加&校正)もWebサイトの保守管理費に含める場合もあるので、一概には変であるとは言えない(HPという言葉を使っている段階で、ここいら辺の用語に詳しくないことが予想される。)

2の「公式ホームページには議員の活動報告とは見なしにくいプライベートな事項も含まれていた」も微妙。有権者に親しみを持ってもらうことも考えると、プライベートをある程度、公開したほうが親しみを持ってもらえる。研究成果のアウトリーチを考えたときも、成果だけよりも、研究者ががんばっているという物語を含めた方がアピール度が高いと考えられるので、「あり・なし」の問題というよりは「どの割合で」という程度問題だと思う。

3の「議員の活動報告とプライベートな活動報告が混在したブログの添削料を政務調査費から出していた」については、政務調査費の性質による。政務調査費をWebで調べる限り、「調査した結果を市民へ報告する」ところまで政務調査に含まれているようなので、報告の媒体であるブログの添削に政務調査費を使うのは別にかまわないと思う。なので論点は2の程度問題。

4の添削の値段については、常識的に考えて安いのでは?大学で機材を入れて保守契約を結ぶと1時間数千円とか、1案件1万数千円とか取られるような気がする。まあ、抑えられても1回の添削に2000円ぐらいまでが限度では?

個人的な意見では、2についてどう判断するかでこの件が問題なのかそうでないのかが変わると思う。研究成果のアウトリーチの観点からすると、2をクリアーすれば税金を原資とする競争的資金から成果報告ブログの添削の費用を出しても、問題ないように思う。