子ども向け支出、世帯主収入減でも増 家計経済研調査
内閣府の外郭団体、家計経済研究所がまとめた「消費生活に関するパネル調査」によると、2008年秋のリーマン・ショックを境に世帯主の収入が減少した世帯で、子ども向けの支出が増加していることが分かった。夫の収入が減少しても妻の就労時間は大きく増えず、ほかの支出をやりくりしながら子どもにかけるお金を捻出(ねんしゅつ)しているようだ。
減少前 | 減少後 | |
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全体の支出 | 25.89 | 24.79 |
家族共通のため | 15.2 | 14.72 |
妻のため | 1.83 | 1.57 |
夫のため | 3.61 | 3.16 |
子どものため | 3.96 | 4.08 |
その他のため | 1.34 | 1.32 |
同研究所のパネル調査は同一の女性を追跡し、結婚や出産、子育てなどの段階に応じた家計行動の変化を把握する。1993年に24~34歳だった女性の調査からスタートし、その後、97年の24~27歳、03年の24~29歳などを加えている。今回の調査は09年10月に実施し、2155人の女性から回答を得た。
リーマン・ショック前後の家計収支の変化を調べるため、07~09年の3年間で前年に比べて夫の手取り収入が5%以上減少した世帯と、5%以上増加した世帯を分類。夫の収入の増減が妻の就労にどのような影響を与えたかを調べた。
それによると、夫の収入が減少した世帯では、妻が新規に仕事に就いた割合は14.4%。夫の収入が増加した世帯の13.7%と比べてわずかな差にとどまった。働いている妻の労働時間にも大きな違いは見られなかったという。
家計の支出をみると、夫の収入が減少した世帯では、夫婦のための支出などは軒並み減少。これに対し、教育費など子どものための支出は月3万9600円から4万800円に増えた。同研究所は「夫や妻が自分の支出を減らし、子どものための支出は削減の対象になりにくい」と分析している。
夫の収入が増加した世帯では、妻のための支出以外はすべて増加している。