EU環境相理事会、京都議定書の延長容認
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)加盟27カ国は14日、ルクセンブルクで開いた環境相理事会で、2013年以降の国際的な温暖化ガス削減の枠組み「ポスト京都議定書」について、米国や中国など主要排出国が応分の削減努力をすることを条件に、現在の京都議定書(08~12年)の延長を容認する方針で合意した。
京都議定書は先進国だけに温暖化ガス排出削減義務を課している枠組み。ポスト京都交渉については、途上国側が「京都議定書を捨てようとしている」と先進国を批判して膠着(こうちゃく)状態にある。議定書延長に柔軟な立場を示すことで途上国側の妥協を促す意味合いがある。
環境相理事会で採択した文書は「京都議定書延長を検討する用意がある」との表現を盛り込んだ。そのうえで、米国や中国など「すべての主要排出国が関与した、グローバルで包括的な枠組みの展望」を条件として明記した。
12年末に京都議定書が期限切れを迎えた後、国際枠組みが存在しなくなる「空白期間」を避けるため、ひとまず京都議定書を13年以降も暫定的に延長する案を選択肢とする。ただ、その場合も米中などがポスト京都で排出削減・抑制を約束するのが条件との立場を示したものだ。
記者会見したヘデゴー欧州委員(気候変動担当)は「全世界に占める米国と中国の温暖化ガス排出量の割合は計40%を占め、中国は20年にかけて単独で30%まで上昇する方向にある」と米中両国の名前を挙げて一段の努力を促した。
日本は従来、京都議定書の枠組みに入っていない国の企業との間で日本企業が相対的に不利な競争を迫られるとして、議定書の延長に反対してきた。EUはこれまで日本と同様、議定書に代わる「ポスト京都」の採択をめざしてきた。だが、条件付きとはいえ、EUが議定書の延長を容認したことで、日本が厳しい立場にたたされる可能性が出てきた。