赤い屋根のお宅の玄関先に私は立っていました。

玄関の戸が開くと


アジア系の女性がスリップ一枚で立っています。


30代くらい。
背は155センチ弱
ミディアムカットで、髪の色はマロンカラー
濃紺に白い水玉のスリップ
目はぱっちり、口紅はブルーよりのピンク。


「私のiPhone、ありますね。
 iPhoneは、どこにあるのかわかるようになっています。
 どこに行っても、わかるんですよ。
 返してください」

彼女の目を見て
言いました。

私は背中を隣のお宅の塀にむけ
大きなバッグで右側の脇腹
紙袋で左側の脇腹をカバーしていました。

残すは、正面のみ。

隙はなし。

もう一度
繰り返しました。



「私のiPhone、ありますね。
 iPhoneは、どこにあるのかわかるようになっています。
 どこに行っても、わかるんですよ。
 返してください」


すると彼女は

「あぁ、あれね。
 私仕事があったからインフォメーションに行けなかった。
 明日届けるつもりだったんだよ。
 私は別に欲しいわけじゃない。
 私、iPod touch、持っているからね。
 私、日本語分からないから。
 ちょっと待って」

家の中に入って行きました。
そして手にして出てきたものは





彼女の
薄いピンク色のカバーをしたiPod!

「見て、私、これあるね。
 これ、わたしの」

「えぇ、わかりました。
 わかりましたからiPhoneを返してください。
 ロックをかけてありますから、使う事はできませんよ。
 全ての中味を消す事ができます。
 だから持ってきてください」

「私ね、日本語分からないんだよ」

「じゃあ、英語なら分かりますか。
 英語で話しましょう」

と言うと、

もう一度家の中へ