研究には科研費が出るが翻訳には出ない。そのため、翻訳もされていない外国の文学者の研究書だけ出るという珍現象が起こる。アイヴィ・コンプトン=バーネットなどがそれだ。これは、小説の翻訳なら売れるだろうから援助は要らないという前提から来ている。だが、その前提が今崩れつつある。文科省は、翻訳にも助成金を出すよう検討すべきであろう。

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橋下徹への大阪弁護士会の処分、そのあまりの遅さに驚く。そもそも裁判自体が時間がかかりすぎだというのに、弁護士会内での処分がこう遅いのでは手の施しようがなく病んでいると思う。むしろ、いったいなぜこんなに時間がかかるのか、そのことを大阪弁護士会に問いたい。

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昨日『飼育の部屋』という映画を観たのだが、どうやら『完全なる飼育』に始まって、この類の、女子誘拐監禁ものが流行っているらしい。
 いろいろ不自然なところが目について、誘拐したのが昼、おまるを与えるのが翌日の朝なのだが、そんなにもつものか、とか、女はすごい恐怖と緊張状態にあるのにずいぶん落ち着いているし顔もやつれていかない、とか、途中でいっぺん逃げ出すが周囲に人家がなかった、と言いつつ、あとの映像では人家あったり、公衆電話からかけようとしてコインがないので、周りの自動販売機の釣銭を探ったりするのだが公衆電話は警察ならタダで掛けられるんだが女が知らなかったのか監督が知らなかったのか。
 結局二年近く監禁されているのだが、女19歳くらい、の周囲で誰も気づかないのが変すぎる。女は、男との間に愛が芽生えたかのようなふりをして、遂に男が安心して鍵を渡して出かけるとすぐに逃走して男は逮捕されるのだが、弁護士から、なぜ彼女だったのかと訊かれた男は、あの子が孤独だったからだと言い、二百何十通かの年賀状を書いたのに、返ってきたのは三通それもレンタルビデオ店とかその類だけだった、ってそれはなぜなのか。けっこうかわいい子で性格も普通なので、なぜなのか説明がないとただの「?」である。
 それでアマゾンのDVDのレビューを観て愕然としたのは、まああんまりないんだが、多くが、セックスシーン目当てで観ているということで、そうかそういう風になっているのかとぞっとしたのと、女が演技をしていたとはこいつらは思っていなくて、最後のどんでん返しとか、裏切りとか書いていて、本気であんな状況で「愛」がめばえるとこいつらが考えているとしたらこういうレビュー書いた奴ら犯罪者予備軍で、予防拘禁でもしたほうがいいんじゃないかと思ったぜ。