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トム・フォード、復帰したのに非公開!?

コントロール・フリークの彼らしく、会場は徹底したクローズドでおこなわれ、写真や録音が禁止された。
英クラリッジとDVFのコラボインテリアの発売記念パーティでのトム・フォード。Photo: Zeta Image

トム・フォードが、12日、ニューヨークのマディソン・アヴェニューにある、トム・フォードのフラッグシップ・ブティック『トム・フォード・ニューヨーク(TOM FORDNY)』にて、6年ぶりに2011年春夏コレクションを発表した。しかし、会場では写真撮影や録音が一切禁止だったため、私たちがコレクションを見られるのは、12月までお預けとなってしまった。その理由について、トム・フォードはこう語った。
「ファッションショウが終わった1時間後に、世界中の人たちがオンラインで見ることができ、1週間後には、セレブがレッドカーペットでその服をまとって登場し、それが雑誌に露出するというシステムがよくない。店頭に並ぶ頃には、服が消費されてしまっていて、見る人は飽き飽き、新鮮みを感じなくなってしまっているのが現状です。このような"ファッションの即時性"を打開するため、今回ショウを公開しないことにしました」。

実際、ショウには、あらゆる年代のリアル・ウーマンに発信するというブランドのビジョンを反映し、ビヨンセ(1981年生まれ)、ステラ・テナント(1970年生まれ)、ダフネ・ギネス(1967年生まれ)、ジュリアン・ムーア(1960年生まれ)、ローレン・ハットン(1943年生まれ)が、モデルとして登場した。「ここ5、6年、少し距離をおいて観察していたのですが、明らかにファッションがリアルとかけ離れてしまっている感じがしました。今後は、リアルな女性にこだわっていきたいと思います。昨晩お見せしたのは、リアルの理想バージョンです」と、新ブランドの方針を明らかにした。

かくいうトム・フォードが、なぜレディスを再びデザインする気になったかというと、きっかけはティルダ・スウィントンだったという。「恥ずかしながら、ティルダ・スウィントンを映画で観て、ビビッときたのがきっかけでした。レディスをまた手掛けるなら、何か新しいことを発信したくなって、自分が楽しめるようになってからにしようと決めていました。そういう意味で、僕自身にとって、機は熟したと言えます。成功したらいいけど、無理なら止めます。でも、きっとうまくいく気がしています」。

by Ella Alexander