【広州=小林哲】サッカー・ワールドカップ(W杯)で、地元・南アフリカのサポーターたちがスタジアムで吹き鳴らし、世界中に有名になったラッパ形チアホーン「ブブゼラ」。民族楽器がルーツとされ、騒々しい低音が特徴の応援グッズは、実はその大半が中国製だ。W杯を商機と見込んだ広東省の工場などで大量生産されている。
広東省スワトー市にある玩具メーカー「利之通」は、昨年6月からこれまでに100万個を超えるブブゼラを製造。地元の交易会やネット販売で発注があった南アフリカの業者などに1個2元(約27円)前後で大量出荷した。
この地域にはプラスチック製品の工場が集まり、同社はサッカーの応援グッズ製造が専門。社長の黄熙楽さんが6年前、たまたまテレビのサッカー中継で、南アのサポーターが吹いているブブゼラを見て商品化を決めた。W杯南ア大会にそなえ、写真を見ながら改良を重ね、特徴ある低音がでる現在のプラスチック製にたどり着いた。「実は本物をまだ見たことがない。でも、うちのは色が鮮やかで、いい音が鳴るよ」
今年2月には発注が多すぎて工員約40人の同社工場だけでは生産が追いつかず、別の地元業者に下請けに出した。黄社長は「これほど売れるとは。W杯後もしばらく生産を続けたい」。
中国の経済紙・毎日経済新聞によると、中国でブブゼラを生産する工場は広東省のほか浙江省などに数社あり、プラスチック製ブブゼラの9割は中国製とみられる。W杯会場では出荷時の20倍以上の値段で販売されているという。 試合会場でサポーターたちがいっせいに吹き鳴らすブブゼラの騒音には、選手たちから、チームメートの声が聞き取れないといった不満が出ている。仏ケーブルテレビ局は、テレビ中継の視聴者からも苦情が多いことから、騒音をカットして放送を試みている。
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7月11日現在