ビール系出荷、5年ぶり最低 1~3月、キリン首位守る
ビール大手5社が12日発表したビール系飲料の1~3月の課税済み出荷量は、前年同期比5.7%減の8613万ケース(1ケースは大瓶20本換算)で、5年ぶりに過去最低を更新した。甘くて飲みやすい酎ハイなどを好む若者が増えたほか、節約志向の強い消費者が割安な第三のビールを買う動きが定着。メーカー別のシェアは第三が好調なキリンビールがアサヒビールを抑えて同期として2年連続で首位を守った。
1~3月のビール系飲料の出荷量は1992年の統計開始以来、過去最低水準。それまで最低水準だった2005年同期は、メーカーが従来の希望小売価格の廃止に伴いオープン価格を導入するのを見越して、実質的な値上げにつながるとみた卸や小売りなどが導入直前に商品を大量に仕入れた反動。今回はそうした特殊要因はなく、若者のビール離れや消費の冷え込みなどに加え、昨年末に正月商戦向けの販売競争が激化し、一部のメーカーが実需を上回る商品を出荷した影響もあった。
酒類別ではビールが前年同期比6.7%減、発泡酒が同22.8%減とそろって不振。価格が最も安い第三のビールは同9.5%増となり、消費者が節約のために晩酌などをビールや発泡酒から切り替える動きが引き続き鮮明になっている。
全出荷量に占める構成比でみると、第三は同4.7ポイント増の33.9%と1~3月として初めて3割を超えた。ビールは同0.5ポイント減の47.5%と過去最低、発泡酒も同4.1ポイント減の18.7%。
メーカー別のシェアではキリンが37.3%で、2位のアサヒビールを1.8ポイント上回った。キリンは第三のビールが好調で同分野でトップ商品の「のどごし生」の販売量が前年同期比5.7%増えたほか、市場全体では急速に縮んでいるビールでも、主力の「一番搾り」が同2.8%減と健闘。アサヒは屋台骨のビール「スーパードライ」が同8.1%減と苦戦したことが響いた。
3位は高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」が2ケタ増になったサントリー酒類で14.2%。4位のサッポロビールを2.2ポイント上回った。サントリーは全体の出荷量も3.8%増となり、大手5社の中で1社だけ前年比増を確保。プレモルのほか、第三の「金麦」も37%の大幅増になり、他社が軒並み販売量を落とすなか、一人勝ちした。
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