行政刷新会議「事業仕分け」のネット生中継で話題を呼んだ佐藤綾香さん(22)が活用していた動画配信サービス「ユーストリーム」やミニブログ「ツイッター」。このようなオンラインサービスは、その特徴から「交流(ソーシャル)メディア」などと呼ばれている。
従来、多数の受け手に向けた情報発信は、主にテレビ局や新聞社など特別の設備を持ったマスメディアが行っていた。だがネットがその風景を変えた。
特に交流メディアでは、動画や投稿などの情報の送り手は主に一般の利用者。そして、利用者同士がその情報を共有し、さらに発信する。
ほとんどの交流メディアは、ネット経由で無料で使える。またパソコンだけでなく、携帯電話から使えるものも多く、その手軽さから利用者が増えている。
中でも、急増しているのがツイッターだ。ブログの一種だが、一度の書き込みは140字以内と簡略化されている。米サンフランシスコのベンチャー企業、ツイッター社が4年前に立ち上げ、日本語版も08年から始まった。
利用者は世界で7千万人を超すとも言われる。ツイッター社の発表では、07年には平均5000回だった1日の投稿が、今年2月には5000万回に。昨年1年間だけで1400%増加したという。
動画配信や写真共有など、外部の事業者がツイッターと連動した新規サービスを開発することもでき、その数は約5万にのぼるという。
ツイッターは英語で「さえずり」の意味。「学校なう」と今いる場所に「なう」をつけて書き込んだり、「これから会議」とスケジュールを知らせたり。時々の出来事や思いをメモのように書き留める。
ツイッターに登録をすると、自分専用のホームページができる。その投稿欄に書き込めば、最新のものから順に時系列で表示される。
知り合いや好きな有名人の投稿も読みたい場合には、名前などから検索をして「フォロー(閲読登録)」のボタンを押す。すると、その人の投稿も、自分の投稿と交ざって時系列で表示されるようになる。
逆に、友だちなどからフォローされれば、自分の投稿がその人たちのホームページに表示される。互いに書き手であり、読者でもある関係になる。このフォローを介した緩やかなつながりが、ツイッターの情報空間をつくる。
独り言や雑談のようなネットへの発信。このツイッターという交流メディアが、なぜ注目されているのだろうか。(編集委員・平 和博)