アサヒビール新商品発表会に見た、マス・ソーシャルを超えるメディアの明日 | ただのオタクと思うなよ

アサヒビール新商品発表会に見た、マス・ソーシャルを超えるメディアの明日

 本日は、このブログのサイドに貼ってある「ギズモード・ジャパン認定特派員」の使命を果たすべく、同サイトからお誘いのあったアサヒビールの新製品発表会に寄らせていただきました。

ただのオタクと思うなよ このイベント、アサヒが3月24日から発売した発泡酒「ストロングオフ」のメディア向け発表会だったのですが、私のようなブログ執筆者やTwitter発信者を多数招集めるという、最近流行の手法が取り入れられたものでした。そのこと自体、そう珍しいものでもないのでしょうが、私自身参加したのは初めてだったこともあり、正直面食らう内容でした。その衝撃は、かつてマスメディアの記者だったという自分の経歴が強く作用してのものでした。

 いったい何がどうなっていたかというと、新聞・テレビの記者やカメラマンと、ブロガー・ソーシャルメディアライターたちがほぼ同等の扱いの元、会見場に居合わせたのです。発表会の壇上に登場したイメージキャラクターである柳葉敏郎さんや篠原涼子さんの写真撮影もマス・ソーシャルの分け隔て無く原則自由。「認定特派員」というお墨付きは必要ではあるのでしょうが、撮影した写真をこうして私のブログに載せることにも何ら制約はありません。それどころか、記者会見場から直接、Twitter上で“Tsuda”り放題。
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 政治取材の舞台では記者クラブがどうとかこうとかと複雑な問題が起きているようですが、こと民間事業会社の記者会見に関しては、もはや記者クラブの壁などあっさり崩れてしまったのだと、この日私は身をもって体験したのです。

 もちろん、アサヒビールの思惑には、ブロガーたち「お金のかからない広告塔」を取り込むことによって新商品の認知度を一気に上げたいとの思いがあり、悪く言えば、われわれブロガーはその戦略にまんまと踊らされたというのはな違いではないでしょう。しかし、新製品を新聞記事として書くことと、ブログやTwitterを通じて書き手の意志に基づいて発信することの間に、どれほどの優劣差があるのか。その情報に間接的に接した消費者にとって、発信元がTwitterだろうとテレビだろうと新聞だろうとYahoo!だろうと何ら問題はないはず。

 もっと言うと、これを「発泡酒の宣伝」という言葉から「○○省の発表」と置き換えたとしても、メディア関係者でもない限りその発信源にいちいちこだわる理由はない。これがソーシャルメディア時代の情報の存在価値の一つの側面だと、きょうの発表会を設定したアサヒビールの姿勢からうかがい知ることが出来たように思います。

 きょうのような記者会見形式が、今後次々と増えるだろうと私は予見します。それは記者の扱いをどうするこうするとかよりも、新商品は一人でも多くの消費者に認知させ1本でも多く売り上げを増やすことが企業の最終目的であり、現在のソーシャルメディアの広がりは、それを達成するのにかつて無いほど有利な状況が生まれているからです。

 世の中の流れとは、思わぬ場所から発生してたちまち全世界を覆ってしまうことも少なくありません。政治記者も業界記者も、各新聞・テレビ・通信社の同じ記者同士。記者レベルの流れの変化も、ひょっとしたらこんなところから一気に進展するのかもしれません。

 実際、きょう試飲会で話を聞かせていただいたテレビ局の記者の方も、私たち「ソーシャルメディア記者」に特に不快感を抱いている様子はありませんでした。至極冷静に物事を見る目を持っていました。その冷静な目がある限り、マス・ソーシャルの枠を越えたメディアの明日は決して暗くない。きょうのイベントはそんな希望を抱かせてくれる貴重な体験でした。