1 行政改革が社会起業家を呼んだ


僕は社会起業家に強い関心があります。

それは、6年くらい前に偶然ある社会起業家の方と友達になったことがきっかけなのですが、

今思うと、行政機構の歴史をたどれば、必然のように思います。


霞が関の中央官庁の歴史を色々と聞いていくと、どうやら昭和50年代までは新しい政策課題に対応する役所の組織を増やすことができたようです。

その後、昭和60年代以降は「スクラップ&ビルド」の時代に入ったようです。

つまり、一つ課を増やすためには、一つ課を減らさなければならなくなったと。


このため、昭和50年代までに行政需要が増加してきた役所では、比較的人員に余裕がある一方で、

厚生労働省のように、昭和60年代以降に行政需要が増加してきた役所では、人員不足の面があるようです。


今、僕は平日の夜や土日に様々な社会起業家が集まる場所へふらっと個人的に遊びに行く活動をしていますが、その実感からすると、おそらく現場にも同じようなことが起こっているように感じます。


つまり、戦後の高度成長期に整備されてきた伝統的な雇用政策や社会保障・社会福祉の領域の現場は、役所や法制度に組み込まれた福祉施設ということになります。

ハローワークや、福祉事務所、保健所、児童相談所、ねんきん事務所といった役所などを始め、高齢者・障害者・児童などの社会福祉施設もそうした文脈でとらえることが可能です。


一方で、ニート・引きこもり、ホームレス支援、児童養護施設等の子どもの自立支援、自殺対策…といった新しい政策領域については、時代が時代であれば新しい役所ができてもよいような大事な課題ですが、既に上述のような行革の流れの中で、整備が難しかったのだろうと思います。


その結果、こうした新しい政策領域の第一線機関は、NPO等の社会起業家がたくさん生まれてきているのだと思います。



2 学生の意識の変化


1で述べたような社会背景の一方、若い人の間の意識の変化も感じます。

僕は1975年生まれですが、自分が学生の頃に大学を卒業して社会起業家になる人というのは、まず見たことがありませんでした。

例えば、慶應大学の中でも、独立心旺盛なSFC(湘南藤沢キャンパス)の学生の意識にも、僕らの世代の後に大きな変化があったと聞きます。

僕らの世代では、大学卒業後(又は在学中から)「ITベンチャーを起業する」というのが最も優秀でカッコイイ学生だったようです。

しかし、数年下の世代では「NPOなどを設立し、社会起業家になる」というのが最も優秀でカッコイイ学生だったようです。


実際に、自分より少し下の世代の名の通った社会起業家には、SFC出身者が多いように思います。



3 社会起業家は官僚の必修科目


1、2で見たように、新しい政策領域における第一線機関は、需要側・供給側双方の要因によって、社会起業家やNPOといった人たちが担うようになってきたわけです。


そうなると、霞が関の官僚が「現場を知る機会」としては、国の出先機関の役所や、地方自治体の第一線機関だけでは不十分となります。


僕は、官僚12年目ですが、この間に出てきた新しい政策領域や、これから出てくる政策領域の担い手は間違いなくNPOなどの社会起業家が主役となるわけです。

もちろん、既存の第一線の役所の組織という社会資源も大事に活用しつつということにはなりますが、既存の役所の組織も新しい課題に対応する余裕は中々ないので、どうしても民間の力が必要になります。


例えば僕があと30年くらい官僚をやるとして、NPOや社会起業家の現場を知らなくてはなりませんし、こういう人たちと一緒に政策を作って行かなくてはなりません。


これが、社会起業家は官僚の必修科目と僕が考えている理由です。



4 社会起業家の育成


そうなると、かつて中央省庁がやってきた第一線の役所を作るという仕事に代わって、社会起業家の育成というのが重要になってきます。


ここに、法制度、予算、税制、表彰、PRといった政策リソースを集中しなくてはなりませんが、民間でも「社会起業家の育成」をするシステムが徐々にできあがりつつあります。



5 社会起業家とその応援者をつなぐプラットホーム~ファンファーレ~


社旗起業家を育成する民間の団体の一つに社会起業大学という社会起業家を育成するビジネススクールがあります。

http://socialvalue.jp/


ここの皆さんとは、個人的におつきあいがありますが、

昨年のソーシャルビジネスグランプリを、厚生労働省の同僚と一緒に見に行ったりもしていますし、

陰ながら、応援しています。


そんな社会起業大学が新しい面白い仕組みをスタートさせました。

「ファンファーレ」というサイトを立ち上げました。


http://star-fanfare.jp/


社会起業家などの「スター」と、それを応援する「ファン」をつなぐ役割を果たします。

社会起業家の活動や人となりを知ることができて、一般の方はそのファンクラブに入って、支援しつつ活動をフォローすることが可能です。


こうした民間の活動もどんどん盛り上がって欲しいです。


また、僕らと社会起業家の人たちは、ミッションを共有できる仲間だと思うので、

こういう人たちと一緒に社会を作って行きたいと思います。


ぜひ、応援してください。



【ファンファーレの理念】

ちっぽけな一歩でもよいから勇気を振り絞って一歩を踏み出すスター。
そんなスターの勇気ある一歩をファンが後押しする、そんな場にしたい。
そして、ここfanfareに様々な分野の人が投稿していくことで、今まで接点のなかった分野の人との思わぬ出会いが生まれ、つながっていくことで、スターの可能性がより広がっていく場となってほしい。

fanfareにはそんな2つの想いが込めれています。

スターへの共感の輪が垣根を越えて広がり、スターを勇気づける様はあたかも多様な
楽器が奏でるfanfare(ファンファーレ)が鳴り響く中を歩いているよう・・・
そんなイメージから「fanfare」と名付けました。

さぁ、みんなでファンファーレを鳴らそう!