バックナンバー

  • 2010年3月5日:「個性なんていらない!?」

(ゲスト)夏木マリ、藤巻幸夫

街で“個性的な人は誰か”とアンケートを実施すると、「人と違う=個性」と考える人が多いという結果に。だが、個性派俳優と呼ばれる人達は、自らを他人とは違うとは思っておらず、さらに美術学生たちに、ある条件の下で絵を描いてもらう実験を行ったところ、規制があった方がより個性が生まれる事が判明!?また、コンプレックスを個性に変え、成功した人物を取材。弱点こそが最大の個性になりうる可能性を探る。


「個性に踊らされる日本人」

街で個性的な人のイメージを聞いてみると、阿部サダヲや温水洋一、六角精児などの名前があがった。いずれも今、個性派といわれる俳優が大人気。ちまたではやたら“個性を伸ばそう”“個性的でなければ”という言葉が飛び交っている。学校では政府主導のもと、個性を伸ばす教育に力が注がれている。そう、日本人にとって個性は、最も関心があることなのだ。
男女5人ずつ10人を集めて、「あなたは自分の個性とは何だか答えられますか」と聞いてみた。するとその結果、意外なことが判明。それぞれが自分の個性をテンポよく答えていく。しかし6人目に差し掛かったあたりからテンポが遅くなってきた。だんだん答えに窮するようになり、9人目になるとかなり辛そう。どうやら答えがカブるのが嫌なようだが、それはいわゆる「キャラ」を意識してのことなのか。テレビの世界では、タレントの売りや個性に合わせて「キャラ」という役割分担を作っている。そして、一つの番組でそのキャラがカブらないようにしているのだが、今や一般社会でも自らのキャラを設定している人が多いのではないだろうか。
なかでも、人とは絶対違う個性を持ちたいと訳の分からない演じ方をしてしまう人がいる。東京・東村山在住の自称・スーパーアイドルの日野誠さん(37歳)。足元をピンクで固め、洋服も赤とピンクのオンパレード。37歳にしてこのいでたち。常にこの姿で、人の目に留まればいつかはアイドルになれると夢見ている日野さん。キャラを作り出そうと必死で考え、27歳で辿り着いたのがこの格好。ローラースケートに短パン、特大のピンクの羽を頭につけ公園でパフォーマンスを繰り広げる。この個性を、多くの人や芸能界の目に留めてもらおうと37歳になった今も、アイドルに向かってまっしぐら。必死で他人と違う個性を演じている。
立命館大学文学部・心理学専攻サトウタツヤ教授は、「個性というのは、人が様々な経験をしながら生きていく中で自然とその人の中に備わっているもの。日本人の多くは個性的であるという意味を、“他人と違う”という意味に捉えている。」と指摘する。多くの人々は“人と違うことこそ個性なのだ”と意味を履き違え、個性に踊らされているのだ。

「規制があるほど個性が生まれる」

今どきのお笑い芸人は、とにかく人と違うキャラを出そうと必死。なにしろキャラが飽きられてしまうとおしまいなのだ。そんな中、キャラではなく人と同じネタで、本当の意味での個性を発揮している芸人もいる。それは落語家。代々受け継がれてきたネタを、皆が共有する古典落語の世界では“個性”はどう考えられているのか、9代目・林家正蔵に聞いてみた。「100年くらい前からほとんどの噺が変わらない。落語好きなお客さんは起承転結、オチまで知っている。“くすぐり”というギャクまでご存知。そういう縛りがあるからこそ個性を出していける」という。縛りがあるから個性が出るとは!?
芸術的な個性を伸ばそうと日夜努力している芸術学校の生徒さんに協力をしてもらい、ある実験を試みた。テーマだけを与えて規制はない6人のチームと、テーマに規制を加えた6人のチームにそれぞれ画を描いてもらった。結果、規制のないチームより、規制のあるチームのほうが表現に各々の個性が強くでた。
厳格に定められた規制の中で、日本人独特の個性を表している人たちがいる。航空会社のグランドスタッフ。キャビンアテンダントと同様厳しい規制のある制服で、唯一個性を表すことができるのが“スカーフ”だという。スカーフの結び方は、なんと50種類以上。制服という厳しい規制があったからこそ、個々人が知恵をふり絞って考えたことで、様々な個性が生まれたのだ。つまり、規制があるからこそ日本人は様々な工夫を凝らし、そこに個性を生み出してきたのだ。

「弱点こそ最大の個性!」

個性を伸ばすにはどうしたらよいか。一般的に「個性を伸ばす」といえば、「長所を伸ばす」と考える。しかし、立命館大学文学部・心理学専攻サトウタツヤ教授は、これに異論を唱える。「長所は必ずしも個性になるというわけではない。自分が長所だと思っていることが、他の人も多く思っているということになれば、それはやっぱり個性にはならない」と。「弱点を逆手に取って、それを最大にアピールし立派な個性に変えることが、個性を伸ばすことだ」という。
この考え方はエンターテインメントの世界でも通じる。ヒットする映画や漫画のヒーローには必ず弱点があるのだ。例えばウルトラマン。地球で戦えるのは3分間だけ。制限時間という弱点を持ちながら悪い怪獣を倒せるのか、我々の目はテレビ画面に釘付けになる。ヒーローに弱点があるからこそ、最大の個性になっているのだ。
そして、実際に弱点を個性に変え、成功した人物が東京・銀座に。夜の銀座で数々の伝説を作ってきたママ・石川香さん(42歳)。今では銀座で3軒のクラブを経営。年商はなんと6億円!3軒のクラブ以外も、銀座に京料理店を開き、働く女性のために24時間受け入れてくれる託児所をオープン。さらにハワイでマッサージ店を経営するなど、その如才を存分に発揮している。そんな彼女は銀座でブスママと呼ばれている。「ブスは私にとって最高の褒め言葉。ブスだからこそ銀座で成功できた」と語る香ママ。容姿の弱点を最大の個性に変えた、その秘策とは!?


【太一のミカタ】

「個性を印象づける名刺」

今や主婦や学生に も必需品となった、個性的な名刺の数々を紹介。
(1)集めたくなる名刺
A:「日本マクドナルド株式会社」の名刺。5種類のマクドナルドメニューが名刺になっている。さらに、マクドナルドキャラクター・ドナルドマクドナルドの足の形をしたレアな名刺も。
B:面白法人「カヤック」の名刺。社員それぞれの似顔絵が描かれている。
(2)お得感のある名刺
A:高知県観光特使の名刺。裏側に高知県の文化施設の無料券がついている。
B:チョコラボキットカットの名刺。通常のキットカットのパッケージに、画像やメッセージを自由に入れられるというもの。
C:神奈川県横須賀市議会の名刺。ヨコスカ海軍カレーのPRのため、カレーの匂いのするマイクロカプセルが埋め込まれている。
(3)「愛」のある名刺
A:ママ友名刺…幼稚園と小学校のママ友に間で名刺を交換することが流行っている。子供の名前と、○○のママと連絡先。個人情報保護法の影響で、学校の連絡網では最低限の情報しか得られないため、増えてきたという。
B:ペットの名刺…ペットの名前とメールアドレスが入ったもの。ペットの飼い主同士が交換する。
C:愛妻名刺…愛妻精神を伝えるため、妻の写真入り。

ページTOPへ