「遺言書」雑感

 さる11月15日(いいいごんのひ)は語呂合わせですが「遺言の日」です。11月15日から11月22日(いいふうふ)の間を夫婦の遺言週間とも言うそうで、なかなか洒落ています。近年、世間一般でも遺産トラブルが出ないよう、遺言書を書くことが奨められているようです。本日の11月21日もその週間内に含まれますね。
 私は丁度7年前の今日、「自筆証書遺言」を書きました。これは私が大腸がんの手術・入院を控え、”死地に赴く戦士”気分で、何か書き遺して置かなければ?という衝動に駆られてのものでした。書式も適当でしたが、書いた日付もたまたま成り行きで、偶然に遺言週間だったのは何か縁(えにし)を感じます。そのあと書斎机の抽斗にそっと入れて置きました。
 あれから7年後の本日、その遺言書を開けて診ますと、やはり現在の状況とは事情も異なっていて、書かれた内容も少し修正を加えたほうが良さそうな個所も散見され、本日付で加筆修正し書き直しすることにしました。そして今後、11月21日は「私の遺言の日」としてメモっておいて、そっと遺言書に目を通したいとも思っています。
 ご承知のように、遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが(このほか秘密証書遺言がある)、私のような家作以外は些少な流動的な資産しか持たない者にとっては、周囲の変化に応じて、何時でも書き改められる自筆証書遺言は簡便でいいですね。公正証書遺言のように、公証人の面前で口授して、遺言書を作成して貰う大袈裟で面倒な方式は、かなりの資産家や、相続人が輻湊しているケースに向いているように思います。
 遺言書の基本は、遺族(家族)への世話になった感謝の気持ちを伝えるものであり、余り格式張らずに、自然体のもののほうが好ましく思いますね。その点で、自筆証書遺言はどなたでも書け、文体や肉筆から受ける感じは、遺言者の情愛が直に遺族に通い合えることで優れているように思います。