あの時死んで欲しかった・・・母の本音より | 訪問看護師はミタ

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訪問看護師MINAの頭の中をのぞいてみたら、こんな感じです。

 母が本音もらす、冗談か本気かわからないところが関西人。父の事を「2年前に脳内出血で死んでくれてたら、生命保険もおりて立派な葬式出せて市長も知事も来てくれたやろ。でも生き伸びたから借金は残る、障害残って仕事はできん、生命保険は解約、毎日何もせず何の役にも立たん、救急車呼んで欲しなかったわ」と。


 これって、一家の個人的な事情を越えて、この国がこれから抱えていかねばならない、いろんな事を示唆していると思う。


 かといって父と母は普通に仲良くケンカしながら毎日暮らしている。でも母は心のどこかで、看護師として判断して、父の脳内出血に気が付き救急搬送した私を恨めしく思っている一面がある。まあ、いろいろあってそれが家族。


 そして、仕事ができなくなった父の代わりに一家の家計の負担や、祖母の施設の年金ではカバーしきれない金額を私の給料で補てんしている。助ければ助けるほど、長生きすればするほど、経済的な負担は私にかかってくる。


 そして両親や祖母への経済的支援を継続するために、子どもをもう一人産みたいのをためらってしまう。それは大きな理由の一つになる。少子高齢化の悪循環が小さな我が家でもおきている。夫は私より毎日サービス残業や休日ボランティア出勤しているけど、私より給料が低い、悲しい現実。


 私の家庭という小さな世界でも、悲しい現実が突きつけられている。祖母は97歳の誕生日を迎えた。


 現実的な少子高齢多死時代の波が小さな我が家にも押し寄せている。祖母は97歳の誕生日を施設で迎えた。その子供たちはもう経済的に祖母をみれなくて私がみている。そして父は要介護、母は入退院を繰り返す。


 訪問看護師として仕事をしている私は、しばしば訪問した患者さんに「お宅のご家族は?」と聞かれる。そして幼子をみながら、介護も経済も担っている家族状況を話すとみんな「うちより大変ね」と慰めて下さる。


 そして、介護をしているご家庭は自分の家庭事情で精一杯!みんなよその事情を知らないから、他人の話を聞いたら安心する。私はあえて自分の家の状況をお話してあげる。包み隠さずに。するといつも患者さんとその家族は「仲間意識」をもってくださって、とても私の事を信頼して下さる。ありがといこと。


 解決の糸口?そんなものどこにも見つからない。でも今日を支え合って生きていく。ほんとにもうそれだけ。特養に入っている祖母には会いたくても月に一回暮らしか会いに行けない。胸が痛む。


 色んな思いが交差して上手く書けないけど、これが今の私たち一家の現実。でもまだまだ私たちは恵まれている方だと思う。個人の力量に任せるままにしている行政も財源が底を尽きているので議論は空論に終わっているのであろう。


 でも、希望の持てる未来を子供たちに残して行きたい。その思いで一杯の私は、今日も明日も、へこたれずに頑張るよ。自分の手の届く範囲の事から少しづつ少しづつ。