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青森県立美術館「冬のコレクション展」(その1)

2010年03月03日 23時46分56秒 | 道外で見た展覧会
承前

 さて、せっかくここまで来たので、「ラブラブショー」だけではなく、常設展も見る。

 特徴はいくつかあるが、まず、順路がわかりづらいことを挙げたい。
 筆者はおなじところを3度も通ったりした。
 展示室も数字ではなく、アルファベットが付けられている。しかも、「A」からではなく「F」からだったりするので、混乱する。

 しかし、わかりやすければいいのか、という気はする。
 迷宮というほどではないにせよ、上がったり下がったりしているうちに
「ああ、ここに出るのか」
という発見があったりする。
 最初から順路がかっちり決められている施設に対するアンチテーゼというか、一種の反論たりえていると思う。
 別に、行き止まりがあって困るとか、そういうのではないので、回遊もまた楽し、という気分なのだ。

 うらやましいのは、青森県というところは、けっこう知名度の高い現代の作家を生んでいること。
 棟方志功、奈良美智をはじめ、「ウルトラマン」の怪獣の造形をした成田亨、それに美術家というには語弊があるが、映画や演劇、文学など多方面にわたって活躍した寺山修司がいる。
 もちろん北海道だってたくさんのすばらしい作り手を輩出しているけれど、これほど一般(つまり、ふだんあんまり美術館に来ない層)に訴求する顔ぶれがいるか-といわれると、いささか心もとない。

 青森県立美術館は、これらの作家にきちっとスポットを当てている。
 棟方志功に関しては青森市内に別施設があるのだが、この美術館も一室を設け、代表作をどーんと陳列している。
 と同時に、展示室が個室に分かれ、それぞれ10点ずつほどテーマ別、作家別に作品が展示されている。
 札幌時計台ギャラリーや札幌市資料館に来ると、五つないし七つぐらいの展覧会を見て充実した気分になることがあるけれど、あれをもっと高水準(失礼)にして、展示室もグレードアップしたのにちょっと似ていると思う。


 なんといっても大迫力なのが、シャガールがバレエ「アルコ」のために描いた舞台美術3点。常識外れの高い天井の部屋「アルコホール」に収められている。
 それぞれ、高さ8.7~8.9メートル、幅14.5~14.7メートルある、巨大な作品だ。さすがに額縁には入っていない。
 順路に迷っても、ここに出てくれば、また再出発できる、そんな美術館の中心ホール的存在だ。
 いすが何脚か並んでいて、鑑賞に疲れた? 人々がぼーっとすわっていた。


この項続く


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2 コメント

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私は昨年夏、楽しみました (粋ふよう)
2010-03-05 18:17:07
昨年夏何年ぶりに、墓参がてらドライブ、青森の三内丸山、美術館楽しみました。
棟方志功記念館は何十年ぶりです。

青森美術館も思い描いていたよりも、建物も展示も現代的で、楽しめる美術館ですね。
シャガールがバレエ「アルコ」のために描いた舞台美術3点には素晴らしいのヒトコトです(あることを知らなかったので驚きの一瞬でした)。
連絡船の存続の為にも、函館→青森→下北半島ドライブ→大間→函館。
オススメしたいコースです。



なるほど (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2010-03-06 11:25:26
粋ふようさん、いつもお世話になっております。

函館-大間航路は、存廃の岐路にたっているそうですが、北海道新聞でも道南版以外ではなかなか記事になりません。
一度乗ってみたいとは思っていますが…。

下北半島も行ったことないんですよね、わたし。

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