ここまで来たか、FRBの情報公開 | ESG投資、金融・経済関連の情報や書評など

ここまで来たか、FRBの情報公開

2011年4月27日のFRBパーナンキ議長の記者会見の模様を、直に知りたいと思い、

FRBのホームページにアクセスしてみました。


情報公開という点では、ここまで来たのかという実感というか、感慨があります。

まず、記者会見のフルのビデオが張り付けてあり、おまけに、英語が聞き取れない

人のためかどうか知りませんが、記者会見のトランスクリプト (筆記録) も用意されています。


これらの情報が、リアルで会見が終わってから、どれくらい経ってから入手可能になったか

確認していないのでわからないのですが、ともかく早い。しかも、フルの情報が誰にでも

入手可能なのですから、これまでみたいに、メディアの報道 (紙にしても映像にしても)を


待たなくても、自分自身で確認できるようになった点には 「隔世の感」 があります。


ついでに、日銀のホームページでも、記者会見がどのように伝えられているのかを調べて

みましたが、記者と総裁のやりとりが、フルの形で (省略などがされずにという意味です)

公開されています。日銀総裁の4月28日の会見の要旨を読むと、記者から、FRBや


ECBみたいに、ネットでの生中継をしたらどうかとの質問もでていましたが、白川総裁は

「中央銀行には、それぞれのやり方があっていい」 というような答えと、日銀の記者会見の

主催者は 「日銀記者クラブなのでしょう」 という主旨の答えをされていました。


ちょっと話が日銀に飛んだついでに書いておきたいのですが、この点はかなり重要な

ことで、よく言われているように、中央の官庁も含めて日本のマスコミには独特の

「記者クラブ制度」というのがあって、その記者クラブに入らないと自由に取材ができなかったり


記者会見にも参加できないという、極めて閉鎖的な運営になっています。逆に、情報を出す側も

この記者クラブ制度を、巧みに利用して (悪用とまではいいませんが) 、マスコミを操作することも

可能です(でした)。


昨年大騒ぎした、厚生労働省の村木氏の事件にしても、それ以外の、特捜部が関与した案件

についても、大手マスコミは、特捜部などの情報を鵜呑みにして流していました。当然、特捜部の

都合のよい=被疑者は有罪だ という情報が氾濫し、それを受ける読者も 「洗脳」 されていくと

いう恐ろしい事態になっていました。⇒国策捜査といわれる所以です


話を、FRBに戻しますと、FRBもかつては 「黄金の寺院・神殿」 と評されたような秘密色の

強い組織でしたし、政策の変更だけでなく、FRBがどの水準にFFレートを持っていきたいのかを

巡っても、Fed Watcher なる専門のアナリストが、市場操作の真意・裏の意味を詮索していたものでした。


また、公開される情報はもちろんありましたが、例えば、民間の金融機関の調査セクションが

そうした 「発表もの」 の原本を入手しようとすると、年間何百万円という情報料金を払って

ワシントンの通信社系のサービスを利用するしか方法がありませんでした。


ワシントンからFAXで送られてくるのですが、まだるっこしい気持ちを抑えながらも

「この情報を日本で得ているのはそんなに多い人数ではないぞ」 と言いながら

分析に励んだ時代もあったのです。


インターネットと情報の出し手の政府・関連機関の情報公開に対する姿勢の変化によって

現代では、万人が平等に 公の情報を入手できるようになった という意味では

繰り返しになりますが、 隔世の感があります。


もちろん、情報を入手しただけでは、何の意味もないわけで、その背景にある政策意図や

今後の展開の読み方、想像力をたくましくすることなどについては、引き続き、

熟達した情報分析力が問われていることを、マーケット・アナリストは肝に銘ずるべき

でしょう。


ちなみに、すぐにネットで検索できますが、今回 (2011/4/27)の史上初のFRB議長

記者会見のトランスクリプトは以下で読めます。


http://www.federalreserve.gov/FOMCpresconf20110427.pdf