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Stop the 風評被害による「風評被害」

2011年04月30日 16時57分56秒 | 人が人であるために【人権】

大型連休、「差別」を懸念=車に傷、給油拒否も-「安全、地道に訴える」福島県(時事通信)

以前も當寮でこの種の問題を取り上げた経緯がありますが、これほど尾が引くとは少し尋常ではありませんね。

また、これらの事例は大手報道機関でも記事として取り上げた経緯があります。

しかしながら、一被災者側の理性として、私はここで風評被害による「風評二次被害」(逆差別)に対して警鐘を鳴らしておきたいと思います。

いわゆるデマや伝聞のレベルの風評が独り歩きをし、事実確認がされないままに差別事象が仕立て上げられしまう世の風潮に対する警鐘です。

実は私、以前同様の新聞報道を目にして、その記事に登場するガソリンスタンドがある某県知事宛に、事実確認の要請のための陳情書を送付したことがあります。しばらくしたら、その県の担当部署から連絡を頂き、「調査の結果そのような事実はございませんでした」との報告を受けました。

「ん じゃぁ、あの新聞記事の真相は一体何」という事で、今度はその記事が掲載されていた新聞社に確認の電話を入れると「ニュースソースに関しては情報源秘匿の原則からお教えできません」との回答が......。では、名指しされた某県の立場はぁぁぁっ となった訳です。

明らかにどちらかが事実に反する報告をしている訳で......しかしそれを単なる一個人の私が確認する術もなく、結果的に名指しされた某県が風評被害の当事者になってしまったという構図が浮き彫りになりました。風評被害を生み出すガソリンスタンドがあると指摘を受けた某県が、実は事実確認もままならない状態で風評被害の当事者になり兼ねないという摩訶不思議な現象がそこにはありました。

その他、避難児童へのいじめ問題の記事を目にして、某県教育委員会宛に同様の事実確認を行っても、決まって返事は「調査の結果そのような事実はない」との一点張り。マスコミの対応も然りで(ひどいところは返答さえもない)、一体私たちはどの情報を信用して良いのか分からなくなりました。

まぁ、他県の一個人の申し出にいちいち対応していたら、業務自体が滞る事情も分からなくもないですが、何となく問題の構図が浮き彫りになったような気もしました。

それらの現実と既述もした「世の風潮」を鑑みれば、全国のガソリンスタンドやFC展開しているホテル・レストランの経営者の方々は、改めて自社の社員に対する教育と管理の徹底を計るべきだと考えます。

なぜなら、一部の社員やアルバイトの緊張感に欠けた対応が原因で、それがグループ全体の存続に関わる事態になり兼ねない恐れがあるからです。一部の人間が無知なるがゆえに、それが活字になった時点でグループ全体の体質が問われ兼ねない空気が今はあります。

また、このようなことは考えたくもありませんが、その空気を逆手に取って悪用する輩が出てこないとも限りません。

この問題が深刻なところは、単に風評被害のみに留まる問題ではでなく、その風評により個人や企業が社会的に抹殺され兼ねない恐れをも含む点です。

一度、ネットや報道で固有名詞が出てしまうと、たとえそれが事実でなくても立証する術が極端に限られてきます。

報道したマスコミ側は「個人情報の保護」や「情報源の秘匿」という錦の御旗を立てニュースソースを明かさないでしょうし、所管の行政機関に事実の確認を要請しても、調べる術と費やす時間も限られているのでしょう。それらの現実を踏まえると、事実であろうとなかろうと、名前が公になった時点でこの種の差別を許さない世論が大きなハンディとなることが予想されます。

もちろん差別が事実であれば論外ですが、ちょっとしたボタンの掛け違いがあると、この種の風評被害が新たな風評二次被害を生む「負の連鎖」に陥る可能性は十二分にあります。

どちらも被害者や加害者になり得る現実を直視し、メディアリテラシーの重要性を認識しつつ、お互いひとりの人間としての理性と矜持を保ちながら対処していくことが必要でありましょう。


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