北海道美術ネット別館

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■相原正明写真展「SPIRIT オーストラリア植物物語」 (2月24日まで)

2010年02月24日 11時15分11秒 | 展覧会の紹介-写真
 これまでもおなじ会場で何度か、オーストラリアやタスマニア(オーストラリア南東に浮かぶ島)の大自然をテーマにした写真展を開いている東京の相原さんの個展。
 今回も、ノーレタッチ、ノーフィルターで、カラーフィルムの美しさをフルに生かした写真の数々で、会場の壁面を埋めている。
 日録にも書いたけれど、プロが本気出したら凄いな、としかいいようのない写真群。

 とくに、夕日を浴びるバオバブの木とか、枯れ木の向こうに月が昇る写真など、いったいどうやって露出を決めたんだろう、と思う。
 デジタルカメラに慣れてしまうと、写した直後にすぐ、写り具合を確認するのが当たり前になってしまう。
 しかし、フィルムでは、現像ができてくるまで、写り具合がわからない。薄暮時の露出は難しく、はっきり言って、カメラ任せにしていては、まず自分の望む明るさの写真はできあがることはないと思う。
 空のちょっと翳った色あい、幹のようすがかすかに見える明るさ…。
 ほんとうに美しく決まっている。

 ほかにも、雨の粒をいっぱいに載せたシダの葉や、画面いっぱいに咲き乱れるワイルドフラワー、砂漠の風紋など、印象に残る写真がいっぱいある。

 相原さんはキャプションがちょっと長い。
 たいがいの場合、キャプションが長いとロクなことはないのだが、相原さんの書く文章は軽妙でおもしろい。
 熱帯雨林の中を撮影していると、Tシャツが汗でびしょ濡れになる話とか、枝の上に赤い鳥が偶然止まった話とか、読んでいて撮影の苦労がわかる。

 ふしぎな形をした岩を満月の光で写した1枚があった。
 オリオン座が真横に傾いている。
 顔を真横に傾けて見ていたら、相原さんに話しかけられた。
「おもしろい岩があるんですよね」
「星座の向きとかが全然日本と違うので、おもしろくて見てたんです」
「そうですね。オーストラリアだとマゼラン雲とかが肉眼で見えますよ」
「そうですか! ところで、これは?」
「3分くらいです」
「3分ですかー」
 
 「これは」だけで、質問が成り立ってしまうところが、日本語のコミュニケーションのおもしろいところだなあ。
 もちろん、露出時間について尋ねているのである。
 シャッターを3分間開放にするので、星の像が線になってうつっている。

 というわけで、感動的な写真展だった。


2010年2月19日(金)-24日(水)10:00-6:30
富士フイルムフォトサロン札幌(中央区北3西3 札幌北三条ビル 地図A

□相原正明オフィシャルサイト http://www.aihara-australia.ecnet.jp/
写真家・相原正明のつれづれフォトブログ



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