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■西村一夫展-座座座座座 (7月4日まで)

2009年07月03日 22時13分42秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 Nishimura Kazuo solo exhibition "THE THE THE THE THE-sitting women,men,and children"

 札幌の西村一夫さんは、道展では版画部の会員として活動する一方、毎年この時期に札幌時計台ギャラリーでひらいている個展では、多種多彩な作品を発表しています。
 そのなかでも、ごくシンプルにデフォルメした女性の坐像は、いわば西村さんのトレードマーク的なもの。
 今回は、会場の壁の大きさに合わせて切ったキャンバス地に、アクリル絵の具で、総計60人あまりの人物の坐像を描きました。
 胸の豊かな女性だけでなく、女性にだっこされた幼い子どもたちや、男性の姿もあります。

 「お盆に親戚が集まるとこんな感じ-と言ってくれる人もいて、見方は人それぞれのようです」
と話す西村さんは、作品と同様、とてもおだやかな方です。
 これだけの人間にかこまれていても、不安な感じがまったくないのは、坐像のもつおだやかさのためでしょう。


             

 見る人をなごませる女性にくらべ、男性は描くのがむつかしいそうです。
 どうしても、いばっているように見えたり、疲れているように見えたりするとのこと。ただくつろいでいる様子を線で描こうとすると、そのように見えてしまうということでした。
 映画とか写真だと、ビールや新聞やたばこといった小道具が見る人の理解を助けてくれますが、シンプルな絵だとそこがむつかしいのかもしれません。


             

 一方で、女性は、ごく自然な感じでどっしりと床にすわっています。
 上の画像のあたりはとりわけ筆者が好きな部分です。子どもって、ひとときもじっとしていないですよね。「ああ、子どもだよなあ」と思います。

 ふとももが見えるので、やや上から見た角度で、すわった人々がとらえられていることがわかります。

 また、下書きの赤鉛筆が、茶色の描線と少しずれているところがあり、そこはかとない味を出しています。


             

 男ばかり7人がならぶ、めずらしい一角。

 西村さんにとっては、色面構成の抽象画も、山の絵も、すわっている人とおなじ意識で描いているそうです。
 そこには、自然をこわし、忙しさを増していく文明社会に対する根本的な疑念と、もっとおだやかにゆっくりいってもいいよ-という心優しきメッセージがこめられているように思えます。




 一見、シンプルすぎるのでは-と思いましたが、それは最初だけで、見ていくうちに深い味わいの感じられる個展でした。


2009年6月29日(月)-7月4日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


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