2010年6月15日
歴史や題材、技法からデビュー法まで、マンガを網羅的に分かりやすく解説した単行本『漫画力(ぢから) 大学でマンガ始めました』(マガジン・マガジン、1260円)が刊行された。著者は京都精華大マンガ学部准教授の佐川俊彦さん。「教科書として面白く、娯楽としてためになる。その両方を狙って書いた」と話す。
「マンガの両親は映画と小説」「手塚が悲劇を持ち込んだ」「ストーリーとは主人公の成長である」など約60のテーマを立て、それぞれ2~6ページで解説。対象の作品の図像や学生らのイラストが、ふんだんに使われている。
取り上げる作品は「鳥獣戯画」から「けいおん!」などの最新作まで。ネット配信やパチンコ機器への展開など最近の動向にもふれた。
マンガ家志望者に向けて、「ふきだしの中のセリフは行頭をそろえるのが基本」「主人公は髪形やシルエットで特徴を出せ」といった実践的なノウハウを紹介。投稿や持ち込み、アシスタント、同人誌、ブログといったデビューへの道も解説している。
「マンガ学部にいま入ってくるのは、手塚治虫の死後に生まれ、『巨人の星』も『あしたのジョー』も名前しか知らない、といった子たち。まずマンガの基本、常識を知ってもらおうと、この本を書いた」と佐川さん。
「大学で学ばなくてもマンガはかけるが、それはミュージシャンが音楽を耳でコピーして演奏するようなもの」という。
「大学でマンガを学ぶのは、楽譜が読めて書けるようになるということ。複雑になった現代のマンガ表現を使いこなすには、基本を身につけることが大事だ」(小原篤)