COMA-CHI x Zeebra 日本語ラップ対談

2010年5月24日 (月)

interview

COMA-CHI x Zeebra 日本語ラップ対談

近年における日本語ラップのクオリティは、海外の作品に引けを取らないほどのクオリティを保ち、その事実は「日本語の楽曲をクラブでプレイする」といった長年閉鎖的であった体質に大きな変化を与えている。ここ数ヵ月においては“ツイッター”という新たなメディアを有効活用した動きもそれに拍車をかけ、楽曲を発表するアーティスト、それらをプレイするDJ自身の意識にも改革が起きているように思う。そんなムーヴメントを一気に加速させたボム「Butterfly City」を投下したZeebraと、さらにフロアで話題になること必至のニュー・アルバムをリリースするCOMA-CHIの世代を超えたスペシャルな対談を敢行。この2人、やはり尋常じゃありません。

COMA-CHI(以下C)「私がいますごく感じているのは、これまで世代やスタイルで分かれていたアーティストが一緒になってシーンを盛り上げていこう! って流れ。そこにはツイッターのようなメディアの進化もあると思うけど、純粋にそう感じるんですよね」

ZEEBRA(以下Z)「まさにその通りだと思う。それに加えて、うれしいいろいろな“たまたま”も重なっていると思うんだ。偶然なのかもしれないけど、みんな刺激を求め合い、いい具合にミックスし合ってる。COMA-CHIがAKをフィーチャーするのも、『KUROFUNE』(※ZeebraがDJ DIRTYKRATES名義でMr.BEATS a.k.a. DJ CELORYとDJ NOBU a.k.a. DJ BOMBRUSH!とともに和モノ縛りで全国を航海しているDJツアー)もそうだと思うよ」

--- その偶然の背景が見えたり、アーティスト同士のつながりが強固になったこともツイッターの功績は大きいですよね。

Z「それらがなかったら生まれ得なかったのかもしれないよね」

C「ついこないだのジブさんのつぶやきで『娘さんが私の曲を歌っていた』という会話も、これまでは第三者の耳に届くのは困難だったわけだし、そういった普通の会話がみんなにも届くことによって、捉え方も変わってくるのかな、とも思う」

Z「DABOとCOMA-CHIの“Tokyo State of Mind”が顕著だったように、“ニュースを作ろうとする意識”が高まってきている。全国的に広まる話題も大事だけど、まずはシーンの中だけでもニュースを作ろうという動きが活発になってきてるよね」

--- その意識が、ツイッターのような即時性あるメディアのメリットとうまく合致したんでしょうね。

Z「ここ最近ではDJ TY-KOH feat. SIMON, Y's『Tequila, Gin or Henny』やDABO『デッパツ進行』なんかがツイッター発信のヒット曲なのは間違いないだろうし、いろんな意味で完璧なタイミングなんだと思う」

--- この勢いを保つためにも、互いに意識していることなどはあるのでしょうか?

C「意識というか、私はヒップホップはもちろん大好きだけど、いろんなフェスに出演させてもらったことによって、他ジャンルとミックスしたものを楽曲に取り入れたいと思ってる。おいしいとこ取りじゃないけど、それを私なりの形にすることこそが、ヒップホップだと思うし」

Z「だね。そもそもヒップホップはすべてを内包できる音楽なんだから、全部いただいてしまえばいいよ」

C「ジブさんのように男性で成功を手にしてきた人はいる。けど、女の子ではまだいないと思うし、だからこそ私は女の子目線で面白い世界観を描きたいし、普通に女の子が『きゃー! ラップかわいい!』って思える曲を作っていかなくちゃいけない、っていう使命感はあるんですよね」

Z「そ、じゃなきゃ俺の娘もかわいくなきゃ歌わないから」

--- Zeebraさん的にはCOMA-CHIのラップや歌は「かわいい」んですか?

Z「曲によって印象は変わるけど、『ギュッと抱きしめて♡』なんかは頭をなでなでしたくなるくらいスーパーかわいい。もうCOMA-CHIに関しては、頭ひとつ抜きん出てる、じゃなく、くるぶしくらいまで飛び出てるから」

C「やだっ、うれしい! つぶやきたい!(笑)」

--- けど、そういう感覚というか、これまでにない形のヒップホップのヒットはシーンの活性化につながるはずですよね。

C「私個人としては、いつの時代においてもハードコアで芯の通った作品は必ずあるから、それに対抗するわけじゃないけど、ちょっとしたチャラさがあるヒップホップも盛り上がるべきと思ってて。『日本語ラップはこうじゃなきゃダメ!』って思っている人が多いから、『あ、そっち行っちゃった?』みたいな風に思う人もいるだろうけど」

Z「間違いない。そういう意味では『Butterfly City』もチャラいでしょ(笑)。『こうだ!』って思ってる人間の方がむしろ浅い。ここでDJが大切になってくるんだけど、それをクラブでかけて機能させてくれればこっちのもん。機能させてくれないと俺たちはただチャラいだけで終わりだからね。ガンガンかけて脳天気に楽しませてもらわないと」

C「私はがんばります。私が続けていることがアングラでもお茶の間でも浸透することが目標だから。困難なこともたくさんあるだろうけど、その役目はきちんと果たしたいです」

Z「俺はいまDJ活動もやっているけど、周りのDJがそういうムーヴメントに気づいてくれれば、自然とDJ活動は控えていくだろうし、この状況を維持するためにも『Butterfly City』に続くフロア・チューンを作っていきますよ」

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  •  『Beauty Or The Beast?』 / COMA-CHI
    メジャーデビュー作「RED NAKED」で一躍ジャパニーズ・ヒップ・ホップ・シーンでの地位を名実共に不動のものとしたCOMA-CHIの2ndアルバム。サウンドプロデューサー陣にDJ JIN、今井了介といった鉄板のメンツから新進気鋭のSKY BEATZ、MONKEY sequence 19らまでを起用し、ネクストレベルへと到達。HIP HOPだけじゃない、全ての音楽ファン必聴の一枚。
  • 2010年05月26日発売
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  •  『Butterfly City Feat.RYO the SKYWALKER, Mummy-D & DOUBLE』 / Zeebra
    ZEEBRAニューシングルには豪華メンバーが参加!DJ Hasebeが楽曲プロデュースを担当し、ZEEBRA、RYO THE SKYWALKER、MUMMY-D、DOUBLEがマイクリレー!これまでの日本の音楽シーンにはなかった素晴らしい作品に仕上がっています!PS3ゲーム「龍が如く4」のテーマソング。
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