なんでやねんDTP・新館

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ツメ組みの均質化のひとつの方法

タイトルなど比較的サイズの大きい文字のツメ組みは、組版担当者が複数だと、たとえメトリクス・カーニングを使用したとしても(喰い込みの程度などにより)そのツメ加減も各々差が発生する。
現在はたった一人の零細組版屋なので問題はない*1が、ひと昔前、私を含めて4人ほどのスタッフで写植屋をやっていたころには悩まされたものである。

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同じ15字程度の原稿を32Qで各々が打つというテストをしたことがあったが、ツメ文字盤を使用してもその送り設定のママではなく微調整は必要となるので、最大で一文字分くらいの差が出来てしまった。
個々人のセンス・感覚の相違なので当たり前に発生することだが、同じ1本のカタログなどを分担して組むことになると、納品物としてはいただけない。
その対策として、なるべく同じ仕上がりになるようにマニュアルのようなモノを作成したことがあった。

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当時使っていた写研の手動写植機PAVO-KYには、ディスプレイ画面と1/16em送るボタン*2があった*3



まず2文字打って、ほぼヒッツク程度までツメてしまってから、1/16emボタンを押す。
結果、32Qだと2Hアキとなる。この間隔を眼で確認して覚え、その後はそのアキに準じて画面を見ながらツメ印字していく*4
それでも喰い込みツメはやはり個々人のセンスに依存するしかないが、例えば「す。」などの部分はルールを決めておくことで、ある程度の均質化は達成できていたと思う。


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現在の環境ではメトリクス・カーニングでイイと言われればそれまでだが、そのツマリ具合もフォントによって様々なのは「フォント毎に差異のあるツマり具合」に記したとおり。
上と同じような原理のことをDTPで実現するとすれば、「文字ツメの効果的な使用例_01」に書いた、文字ツメ100%に+トラッキングを施す方法になるだろう。
以下は上からそれぞれ、ベタ / メトリクス*5 / ベタの状態に文字ツメ100% / さらに+トラッキング66 / さらに微調整したモノ で、画面上で行頭を揃えた。



もう1例追加(100428)
CIDのリョービ花蓮華-M。



2行目はメトリクスは無理なのでオプティカル
末尾に微調整後の5行目をトラッキング+200に変更したモノを加えた(ベタ組み時の漢字の間隔を基準に)。

*1:勿論、私のような組版屋には発注者=デザイナーなりの好みにも留意する必要があるが、ここでは置いておく

*2:ラッキングでいえば+62.5

*3:手垢にまみれている……申し訳ない

*4:現在の眼で見ればツメ過ぎ感があるだろうが、当時はツメツメが流行っていたし、求められてもいた

*5:Illustratorなら自動