英国出身のジョセフ・テイム(32)さんが来日して驚いたのは、「3G回線の速度が故郷よりも速い」ことだった。日本の3G回線を使って何かやりたい――そう考え思いついたのが、iPhoneを使った動画のライブ配信だ。
今年2月の東京マラソンで、自分や周りのランナーが走る様子を、iPhoneからUstreamで配信した。Twitterには応援のコメントが次々に寄せられた。映像を見てテイムさんを知り、カレーパンを差し入れた人も。「これは夢か」と驚いた。
UstreamとTwitterがなければ「ゴールできなかった」と振り返り、日本の3G回線とiPhoneで「人生が変わった」とまで話す。テイムさんは、2カ月経ったいまでも、あの日を思い出すと感動がこみ上げてくるようだ。
外国人向け日本語教材を手がける出版社に勤め、マーケティングを担当している。ワーキングホリデーで来日し、北海道のペンションなどで1年間働いた後、母国の大学に戻って日本について学び、2008年7月に再来日した。
日本の3G回線の速さに驚き、3G回線を使って動画のライブ配信をすれば面白そうだと考えた。当時のイギリスでは、3G回線の速度が遅いうえに料金が高く、携帯電話でネットを利用する人は周囲にほとんどいなかったという。日本人が携帯で時刻表を調べたり、漫画を読む姿を見て「本当にすごい! と思った」と振り返る。
再来日してすぐにiPhoneを購入。JailBreak(iPhoneのロックを解除して、非公認アプリを実行できるようにする行為)し、ライブ配信できるサイト「Qik」に自分のiPhoneを対応させた。
「抽選に外れて出場できなかったランナーに楽しんでもらいたい」――昨年3月の東京マラソンで10キロの部に出走し、QikとiPhoneを使ってのライブ配信に初挑戦した。映像が遅延するなど反省点もあったが、トータル1000人が視聴。「すごい」「もっとやってほしい」といった感想が寄せられたという。
富士山の山頂からライブ配信したこともある。昨年7月にMacbookとNTTドコモのデータ通信カードを担いで登山。頂上で天気が崩れ、いったん8合目まで下ったが、天気が回復したため再び山頂へ戻り、無事Ustreamで日食の様子を届けた。
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