花咲か爺さん?? | 気象予報士のさくらコラム

花咲か爺さん??

岡村真美子です。

「花咲か爺さん」といえば
日本人がよく知った昔話。

内容はちょっぴり悲しい場面もありますが
灰を撒いて花を咲かすというのは夢のようなお話ですよね。

実は今、そんな花咲か爺さんの“灰”リアル版が
研究されています。

決して灰を撒くわけではないのですが・・。

「石灰石と窒素の化合物」
これが、いわゆるお爺さんが手に持つ“灰”と同じ役割。

ただ、液体ですので
撒くは撒くでも手ではなく、
「霧吹き」で撒くのだとか。

現在はまだ研究段階ということで、いま
三重県ではソメイヨシノを対象に
静岡県ではカワヅザクラを対象に

数本の木で実験が行われています。

こちらはその“灰(実際には薬)”を噴霧した河津桜。(今月上旬に撮影)
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後ろの木と比べますと
多くの花が開いていることが見てとれます。


ソメイヨシノの開花は3月予定ですので
結果は来月、ということですが
カワヅザクラの方はまさに今の時期が見ごろ。

噴霧による効果は歴然としていまして
研究に使用された木の開花は
他のものより早かったそうです。


どうして花を開かせることができるのか、、
それは
この特殊な薬が「休眠打破剤」の役割を果たすから。

桜は秋になると休眠、いわゆる眠りに入ります。
その後、冬に一定の低温にされされると今度は目覚めます。
この目覚めが休眠打破

休眠打破を促すお薬なので、
開花時期を早めることが出来る
となるわけです。


観光面などにおいて、
イベントの時期に開花を合わせる事が出来る
というメリットの一方、

桜は自然に咲かせる方が良い、という考え方もできます。
生態系への心配などもあるでしょう。


これらの研究開発を行っているメーカー(日本カーバイド工業株式会社)
にお話を伺いましたところ
「安全面などに対する研究にも一生懸命取り組んでいます。
切り枝などにはもう使用されているもので、今回は植木への適用に挑戦している。」
とのこと。

花咲か爺さんの民話が現実のものとなる日も近いのでしょうか??



それにしても
ここまで「桜の開花」を気にかけ、気持ちを込め、熱意を持ち、懸命になる。
「桜」という美人薄命な木を愛でる
日本人ならではの取り組みだと感じます。


今回の桜の開花予想も
だいぶ熱の入ったものになっています。

今後の発表、コラムにも乞うご期待ください!


岡村 真美子
2010.2.22