2010年1月25日月曜日

ソーシャル・メディアとPurchase Funnel (購買行動プロセス)

●今年のマーケティングのトレンドの1つとして、
日本においてもSocial media marketingが進展しそうです。

欧米では大きな流れになってきています。

例えば、TechCrunchの記事が、
「欧米企業のマーケティングはソーシャルメディアに
大きく傾斜」と伝えています。http://jp.techcrunch.com/archives/20100121alterian-social-media-marketing-study/

日本においては特に外資系企業が本社の意向もあり
追随する動きが強くなっています。

以下も参照:

2010: Year of Social Media Marketing

2010年のソーシャルメディアマーケティング予測

消費財の広告主がインターネット広告費を拡大する


Social media marketingについては
株式会社トライバルメディアハウスの池田 紀行社長の
次の2つのブログが参考になります。

ソーシャルメディアマーケティングを始める前に自問すべき6つのこと
 
ソーシャルメディアマーケティングの本質

 
吉田賢「対話から始まる新しいマーケティング・コミュニケーション」も参照


 
●ところで、2005年に電通がインターネット時代の
購買行動を受けて、「AISAS(アイサス)の法則」を
提唱したのは有名です。

Attention(注目)→ Interest(関心)→ Search(検索)
→ Action(行動)→ Share(共有) の頭文字を取ったものです。

マーケティングの世界では長らく使われてきた
AIDMA(アイドマ)の法則(アテンション=注意喚起、
インタレスト=興味、デザイア=欲求、メモリー=記憶、
アクション=購入)に変わり、

「インターネット時代の新たな消費者行動のプロセス」
として考案されました。

特にEコマースに適用されます。

以下に示すように、このモデルがSocial mediaには
不完全であることがわかります。


●古くから「購買行動プロセス」モデルとして使われるのは、
Purchase Funnelというものです。

Funnelというのは「漏斗」(じょうご)という意味です。

図で表すと次のようになります。

いろいろな表記の仕方はありますが、簡単に表すと、
「認知⇒考慮⇒購買」です。













●このPurchase FunnelとSocial media(SM)の関係を考えると、
マーケティングにおけるSMの重要性
理解できると思います。

●90年代の顧客志向へのシフトから、
2000年前後にCRM
(Customer Relationship Management顧客関連管理)
がブームになりました。

CRMは、企業が顧客との関係を深め、顧客を育成し、
継続的な売り上げアップを実現することが目的です。

そのために、情報システムを駆使して、商品の売買から
保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、
個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理を行います。

それによって、顧客満足、顧客ロイヤルティを強化します。

購買後の企業側の一方的な管理によって、
新規顧客の獲得よりも、「既存顧客の維持」に重点が
置かれています。

●他方、ブログやTwitterなどのSocial mediaでは、

購入後の「使用⇒商品やブランド・企業・お店に対する
評価/意見の形成⇒他者へ話す(会話・口コミ)」

というSocial Feedback Cycle
(ソーシャル・フィードバック・サイクル)が、

企業のマーケティング活動ではなく、
購買時や購買後に「消費者自ら」
(Consumer generated media: CGM)によって、
「会話」という形で形成され、

それがPrucase Funnelにおける「考慮」過程に
大きく影響を与え、トライアル購買やリピート購買を
促進する点に大きな特徴があります。

●テレビや雑誌の伝統的メデイアでは、
企業の一方的な情報発信によって、
認知が形成されます。

他方Social mediaでは、
消費者間の自然な自発的な会話によって
「考慮プロセス」が影響されます。

人々は企業の一方的な情報よりも、
使用経験のある消費者の声=口コミ、
それが影響力のあるインフルエンサーや
「エバンジェリスト」(伝道師)の声であれば
さらに強い影響を受けます。

それらの情報が、「消費者の購買行動を正当化」する
根拠になります。

●いかに購買行動プロセスの考慮過程に
大きな影響を与えるかを考えることが
Social mediaを活用する上で重要であると言えます。

●以上の考えを図示すると、以下のようになります。

少し見づらくて恐縮ですが、左から

AWARENESS⇒CONSIDERATION⇒PURCHASE⇒
USE⇒FORM OPINION⇒TALKです。
TALKがCONSIDERATIONにフィードバックされています。


Dave Evans, 2008 Social Media Marketing: An Hour a Day P.42


●Purchase Funnelをプロセスではなく
サイクルとしてとらえる考え方については以下も参照:

The Purchase Funnel is dead. Long live the Purchase Funnel!
 


《このBlogは毎週月曜日の午前中に更新されます。月曜日がお休みの時は火曜日の午前中です。また臨時に更新されることがあります。》

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