新書本に関する分析

 ここ最近、[読書カード]カテゴリで投稿したブログ記事で、講談社現代新書が連発しています。以前から、ここの新書は独特で面白いと思っています。ここで、色々な出版社のポジションを分析してみまます。
A.学術的、論文的な、やや難しい新書
岩波新書中公新書ちくま新書
B.日常生活的、エッセイ集的な、簡単に読める新書
PHP新書光文社新書講談社プラスα新書、その他の大多数の新書
 僕の印象としては、だいたいこういう分類かと思います。講談社現代新書は、そのどちらでもないと感じます。逆説的に、堅さと柔らかさを両立しているとも言えます。それが強みでもあり、弱みなのでしょう。講談社は会社が大きく、堅い本から柔らかい本まで扱うことが要因でしょうか。また、老舗的な現代新書シリーズとは別に、プラスα新書というシリーズをもつことも要因かもしれません。
 『はじめての構造主義』は、構造主義という難しい内容を中学生にもわかるように記述した本でした。『「世間」とは何か』は「世間」(日常生活的なもの)を思想として読み解いてゆく(学術的なもの)です。A.とB.のよいところが合わさっている内容のため、長年にわたって読み継がれる名著となったと分析します。近年では、『不機嫌な職場』は職場の問題(日常生活的なもの)をきちんと論考(学術的なもの)にしていると感じました。他にいままで読んで良かった本としては、『知的生活の方法』(渡部昇一 著)『タテ社会の人間関係』(中根千枝 著)などがあります。これも長年のロングセラーですね。ロングセラーは古本屋で安く手に入ることも多く、重宝しています。
 こうしたいいとこ取り、というのは困難な面もあります。書店で講談社現代新書のコーナーを見ると、簡単な内容を小難しく記述している、あるいは学術的論考がもの足りない、といった本にも出会います。しかしながら、そこがきちんとはまると強力なロングセラーを産み出すのが講談社現代新書の強みと思いました。