お気に入り記事の保存はアプリが便利!

ほぼ日刊イトイ新聞

2024-06-02

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・建て替えができないまま10年も過ぎて、
 どんどんボロになっていくマンションだけど、
 風呂だけ新調して気休めをしています。
 と、そのことはまた別にして、
 新しいバスタブはジェット水流が噴き出せるんです。
 これは最高ですばいと毎日ブクブクシュワーとさせてたが、
 ある日、ふとジェットのスイッチを入れずに入浴したら、
 なんだか静かで、落ち着いてお風呂に浸かっていられる。
 いいもんだなぁ、とあらためて思ったんです。
 「せっかく」ジェットが付いているので、
 ついついブクブクさせちゃっていたんですね。

 先日、写真家の幡野広志さんが、
 新幹線「ひかり」に乗っちゃったらしいんです。
 東京から大阪への新幹線といえば「のぞみ」に乗ります。
 「のぞみ」は「ひかり」より30分くらい移動時間が短い。
 いや、30分もちがうと言ってもいいかもしれない。
 「せっかく」30分も早く着くんだから「のぞみ」に乗る。
 ぼくも、ずっとそうしていたのですが、
 その30分程度の時間、ほんとに早く着きたいのか。
 どうせ寝ていたりもするんだし。
 ぼくは、この先、京都に行くときなんかだったら、
 あえて「ひかり」で行ってみようかなと思いました。
 「急いでない」と思うだけでも、味わえるものもあるし。

 ずっと昔のことだけど、娘が小学生だったころ、
 あるチェーン店のお気に入りのハンバーガーが、
 いったんお休みになったんです。
 何月何日ごろ、「おいしくなって新登場します」とのこと。
 娘、その日をほんとうに心待ちにしていたんですよ。
 そして、当日、もちろんいっしょに行って買いました。
 さっそく食べての感想が、
 「わたし、おいしくならないほうがよかった」でした。
 「せっかく」おいしくなった、はずなんですけどねー。

 なんか、このごろ思うことが多いんですよ。
 「せっかく」ということを、もう、考えちゃいけないなと。
 「せっかく」かどうかで、そっちに引きづられちゃダメだ。
 「せっかく」があるのはかまわないが、それならそれで、
 「せっかくですが」も選択肢に入れたほうがよさそうだ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「せっかく」って基本的に「しなくてもよかったこと」かも。


ここ1週間のほぼ日を見る コンテンツ一覧を見る
ほぼ日の學校
吉本隆明の183講演
ドコノコ
ほぼ日アプリ
生活のたのしみ展
TOBICHI東京
TOBICHI京都