石川知裕議員逮捕は違法逮捕だった!

非公式情報だけれど先週最も売り上げのあった週刊誌は週刊朝日だったらしい。

どの週刊誌もトップ記事は「小沢一郎東京地検特捜部」関連だったのだが、週刊朝日を除く他の全てが検察側から記事を書いているのに対し、週刊朝日だけが検察の捜査手法や検察べったりの報道のあり方に疑問を呈していたのが特徴だった。特にジャーナリストの上杉隆氏の「検察の狂気」と題された記事は特集のトップに置かれ、厳しく東京地検特捜部の捜査のあり方と記者クラブメディアの報道を批判していて、twitter等ではフリーランスのジャーナリスト達の多くがこれを読むように勧めていた。

そして今週になると週刊ポストサンデー毎日などが視点を検察一辺倒から中立或いは小沢一郎側へとシフトし始めた。週刊朝日の売れ行きを見て気が変わったのか、或いは本当に検察に対する疑問が一週間で湧き上がったのかはよくわからないけれど、兎に角週刊誌ジャーナリズムが少しづつ動き始めたようである。

小沢一郎は確かに権力者でありジャーナリズムはその権力を監視しなければならない。しかし一方の検察も権力である。それなのに今のジャーナリズムは検察の持つ国家権力を放置し、一方の小沢一郎を叩くことだけに懸命になっている。これを好意的に言うと片手落ちといい、正直に言うと権力の走狗という。

さてその週刊朝日を買ってきた。今回のトップ記事もやはり「小沢一郎東京地検特捜部」特集なのだが、ここでの注目記事はジャーナリスト上杉隆氏の取材で明らかになった新事実である。タイトルは勇ましくも「検察の卑劣」である。重要な部分を一部抜粋する。

 1月13日午後4時45分、突如、議員会館の石川事務所に見知らぬ人物が押しかけた。衆議院事務局議員会館課の女性職員に案内されてきたのは東京地検特捜部の事務官ら7人である。
 石川の部屋の前の廊下には記者たちが取材機会を求めて待機していた。その目の前での出来事だった。
 操作は極めて強引であったようだ。まずドアをノックすることもせず、会館の職員が東京地検の事務官を部屋に引き入れると、捜索令状も見せずに、内側から勝手に鍵を閉めたのだ。
 その間、捜査事務官たちは、部屋のモノには手を触れないように秘書たちの行動を制限している。約30分後、石川本人が検事と共に部屋に戻ってくるまで無断で占拠し続けたのだ。
 つまり、少なくとも30分近くの間、令状もなく国会議員の部屋が無断で東京地検に“差し押さえ”られたのだ。これは違法行為ではないのか。(P25)

上杉氏が特捜部関係者のひとりに確かめると「令状なしの家宅捜査は聞いたことがない」との答えが返ってきた。また土本武志元最高検検事は明確に「それは脱法行為である」と断定した。つまり石川議員逮捕は手続きに不備がある違法逮捕だった可能性が高い。

さらには翌朝石川議員の秘書がその部屋に出勤すると、押収されているはずの石川氏の携帯電話が机の上に忘れられていて、弁護士を通じて検察に電話すると「じゃあ、持って来てもらえますか?」などとのんきに曰ったというのである。勿論この携帯電話は押収物リストに記載されていたのである。

この上杉氏の記事の前半部では検察が体調を理由に聴取日程を日曜日の党大会の日に延期して欲しいという石川氏に対して、検察が恐喝した行為も明らかにされている。

それは石川市の女性秘書が赤ちゃんを連れて出勤しており、石川氏の部屋にベビーベッドを置いていることによりそのことを知った検察が言った言葉である。

「あの女の秘書、小さな子供がいるんだろう。(事情聴取に)呼ばれたら、困るんじゃないか?」(P24)

このような人の弱みにつけ込むのは検察の常套手段のようで、鈴木宗男議員も証言している。

「私にもね、経験がありますよ。検察はこうも言いましたよ。『捜査に協力しないと事務所の女性秘書を逮捕するぞ』って。でもね、彼女は、当時、重い病気だったんですよ。それを、結局、私がいっさい調書に応じないからって、本当に逮捕したんです。許せんですよ、本当に。結局、彼女は亡くなってしまったんです」(P24-25)

記事にはないが付け加えると、この鈴木宗男議員の女性秘書は重度の癌を患っていて、頻繁に病院での治療が必要な状態だった。そして逮捕されるとその治療さえも制限されたという。また公職選挙法違反で(事後買収)で失職した出口晴三元葛飾区長も証言する。

出口が(調書にサインを)拒んでいると「じゃあ、女房を呼ぶぞ」という例の脅しが始まった。
「それでも応じないでいると、許せないことに、当時中学3年生の長男を呼んだんです。未成年ですよ、まだ14歳の。そこで検事はこう聞いたそうです。『おまえも父親のような政治家になりたいのか』って」(P25)

そして上杉氏は続ける。

 小沢事件でも同様だ。新聞はこう書いている。<小沢の妻も事情聴取へ>
 そして、小沢自身が任意の事情聴取に応じるとした途端、次のような記事が出た。<妻の聴取、見送りへ>

上記は上杉氏の記事からの一部抜粋であり、興味ある方は是非週刊朝日をご自分で手に取ることをお勧めしたい。新聞やテレビなどの記者クラブ依存型ジャーナリズムとは違った視点をみることが出来るだろう。そしてこの「小沢一郎東京地検特捜部」の最も焦臭い部分、つまり、検察側の一方的な情報だけが報道されることの恐ろしさを皆が共有するべきだと思う。

検察も権力であり、その暴走に報道が荷担していることは、戦前の軍部に当時の報道が追従した結果、戦禍を広げ莫大な犠牲者を出した歴史から何も学んでいない証拠である。

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